【実体験】「アメリカ人は仕事しない」はウソ!日本の働き方と給与も交えて考察してみた。

【実体験】「アメリカ人は仕事しない」はウソ!日本の働き方と給与も交えて考察

アメリカ赴任から7ヵ月が経ち、日本でよく聞いていた『アメリカ人は仕事をしない』という話がウソであり、ある意味では本当でもあるとわかってきました。

この記事では管理人の体験を踏まえて、アメリカと日本の働き方や人事・給与について比較していきたいと思います。

アメリカ人は仕事しないというのはウソ

アメリカ人と日本人の仕事観の比較で必ず出てくるのが、『アメリカ人は長時間労働をしなくて、日本人は長時間労働する』という話です。

おそらく多くの方が違和感なく受け入れている話のように思いますが、実際には、「どこのポジションの話をしているのか?」に注意しないといけません。というのも、実際には、Directorレベルのポジション(日本での部長クラス。実際には会社によって異なる)になると、猛烈に働きますし、普通に長時間労働もしています。

例えば、私のアメリカでの上司(Senior Director)は、二児の母でありながら、土日もメールが返ってきますし、業務が逼迫している時は、土日出勤もします。

退社するのは5時か6時頃ですが、それは子供を学校に迎えに行くためで、家族で夕食を食べたあと、夜8時から11時ぐらいまでメールが飛んでくるのも普通です。

もちろん、早朝や夜に、他地域との電話会議をこなすこともあります。

というように、アメリカ人の中でも成果にコミットしている人(せざるを得ないポジションの人)は、長時間労働を厭わず、仕事をしているというのが私の実感です。

日本では仕事は会社でするものという意識が根強いので、会社にいる時間でつい比較しがちですが、きちんと比較するには、アメリカ人の自宅での業務時間も加味しないといけません。

そして、正直なところ、私のこれまでの日本の上司と比較しても、今のアメリカの上司(二児の母)の方が仕事をしていると思います。

一方で、アメリカ人の中には、たしかに仕事をしない人がいるのも事実です。

仕事をしないアメリカ人はどんな層に多いのか?

実際にアメリカで働いてみると、メールのレスポンスが遅かったり、成果物のクオリティーが低くて驚く場面に出くわします。

そして、その確率が高いなと感じるのが、日本で言うところの係長クラスより下の構成員レベルです。

アメリカでは、組織の構成員に近づいていくほど、言われたことだけやって早く帰る傾向が強くなる印象です。(しかも、家でも仕事をしない)

構成員レベルの仕事は定型業務が多く、給料もそこまで高くないので、指示された仕事だけやっていれば問題ないからです(日本のように、上司や会社に尽くすべき、みたいな仕事観はないですから)

例えば、『提出データにミスがあったから修正しておいてください。例えば、AとBです。』

とお願いしたら、例示したAとBだけを修正して、『終わったよ』と連絡してくる人がいます。

こういう人たちには、『AとB以外にもミスがあるのでミスの箇所を特定のうえ修正をお願いします。』と付け加えてあげないと、うまく動いてくれません(こういう時、日本人なら皆まで言わずとも動いてくれるのにな、と思ってしまいます。)

『アメリカ人は仕事をしない』と言っている人は、おそらく、こういった構成員たちと仕事をする機会が多い方なのではないかと思います。

もちろん、構成員の中にも猛烈に働く優秀な人もいます。

ただ、そういう人は例外なくマネジャーに昇格していくので、結局、構成員の中には、ほどほどに仕事をこなす人が残る印象です。

【アメリカ企業】成果&労働と給与が正比例するフェアな評価体系

アメリカでは、ポジションが上がるにつれて、求められる要求が高くなり、労働時間も増えます。そして、その対価として給与も格段にアップします。つまり、成果&労働と給与が比例していくフェアな体系と言えます。

ポジションと労働の関係を図で示すと、以下のようなイメージです。

ポジションが高くなれば、長時間労働が必要になります。当然、高ポジションほど給与は上がります。

アメリカはポジションと労働が正比例

給与を重要視する人は猛烈に働くし、自分の時間を大事にする人は高ポジションを敢えて求めず、仕事もほどほどに抑えます。その選択は、その人の自由です。

もちろん、そもそも仕事をしない人はすぐにクビになるので、窓際族はいません。

働かざるもの食うべからず、ということで、どこかの国の企業と比べて、とてもフェアです。

【日本企業】成果と給与のアンバランスがまだ残る評価体系

丁稚奉公的な考えが根強い日本企業では、給与が少ない末端部員の時から長時間労働をしいられます。アメリカのようなジョブディスクリプション(仕事内容を定めたもの。給与と連動している)はなく、「若手」という理由で、様々な作業や雑務を課せられます。(管理人も経験済みです)

そして、部下持ちの中間管理職が一番労働時間が多いというのは、どこの会社でも同じなのではないでしょうか。

一方で、終身雇用&年功序列システムの結果、部下なし高ポジションや定年間近のシニア世代は、少ない労働時間&少ないプレッシャーの元、かなりの高給をもらえる仕組みになっています。(妻の働く会社では、毎日yahoo!ニュースを見て時間を潰しているシニア世代もいるという話もあり、驚きを隠せません)

こちらも図で示すと、以下のようなイメージです。

日本は高ポジションで労働減

最近の働き方改革による「残業しないように」という指示は、若手〜中堅社員を守る意味ではいい方向に向かうのではないかと感じています。

ただし、猛烈に働いて成長と上のポジションを求める人にとっては、足かせになることは間違いないので、ポテンシャルのある将来の幹部社員の成長戦略をどう描くのかな?という疑問は残ります。(アメリカ企業のように、若手を大抜擢するという打ち手も、古い企業は敬遠しますから)

そして、この図を見てすでにお気づきの方は多いと思いますが、高給取りの生産性の低い幹部社員に対する打ち手、そして、中間管理職へのケアについて、各企業は真剣に考える必要があると思います。

長時間労働ばかりが目立って取り沙汰されていますが、本当に問題なのは、日本企業におけるポジションと労働時間のアンバランスなのではないでしょうか。

まとめると以下の通りです。

まとめ:成果&労働と給与のバランスを是正するためには?

終身雇用制度は継続する前提として(いきなり無くせませんから)、

  1. 末端部員の残業時間を減らす(これは実施している企業多数。ただし、ポテンシャル幹部人材はどうする?という疑問あり)
  2. 部下なし高ポジションやシニア世代を降格・減給する(または、給与に見合った分の成果をあげてもらう)
  3. しわ寄せが行く幹部社員に、2で確保した給与を分配する(他にも手厚いサポートが必要)

という3点セットです。

要するに、年功序列で給与を決めていく仕組みから、可能な限り、成果&労働と給与のバランスがとれた給与体系にシフトするという考えです。

すでに終身雇用&年功序列システムを何十年も続けてきた企業にとっては、上記の2と3を進めるのは大変かもしれませんが、日本企業がアメリカ含めグローバル企業もの熾烈な競争に勝ち抜いていくには、人事・給与制度面も大きく変えていく必要があるのではないでしょうか?

【かんたん読者登録】- 記事更新をメールでお知らせ -

無料カウンセリングご希望の方は以下画像をクリック!

無料カウンセリング

【オススメ】管理人が愛用してるKindle読み放題

ABOUT US

ippo
本サイトの運営者。社会人になった後、周囲から仕事ができないと思われて、自分の人生が真っ暗闇に感じた辛い日々を過ごす。その後、奇跡的な復活劇を遂げ、その勢いのまま、グローバルプロダクトマネジャーを経験。全く喋れなかった苦手の英語もビジネスで会話ができるレベルまで押し上げ、2019年6月からはアメリカに赴任し、グローバル・リーダー/マネジメント達と仕事をしている。 専門分野は、プロジェクトマネジメント、アカウント・ファイナンスなど。自分のように、仕事で悩んでいる人や大きな壁を感じている人が現状打破できるように、という想いで2017年7月に本サイトを立ち上げた。
error: Content is protected !!