英語でメールやプレゼン資料を作っている時、「なぜならば」という理由をbecause, since, asのどれで表すべきか迷ったことはないでしょうか?
実は、because, since, asには明確な意味の違いと使い分けがあります。これらは何かを提案・説明する時の大事な「論拠」の枕言葉になるのでとても重要なのですが、意外と意識していない人が多い印象です。
といいつつ、私も以前、『3つの違いはよくわからないので、とりあえず、無難なbecauseを使っておこう』と考えていました。今から思えば、とても勿体なかったと思います。
この3つの使い分けることは、自分の伝えたい意図を正確に相手に届けることに繋がります。そして、正確に意図が届けば、相手に納得感を持って行動を起こしてもらえるようになります。
ということで、この記事では、英語でビジネスをする際に絶対に外せないbecause, since, asの意味の違いと使い方を説明したいと思います。
because は相手が知らないことを理由にする時に使う
becauseは、相手が知らないことを話したい時に使います。
帰国子女の方に話を聞くと、becauseと聞いた瞬間に、自分が知らない何か新しい理由がこれから話されるのだな、と心構えをするとのことでした。
以下の事例をみてください。
I went to the office on Saturday because I have to complete a lot of reports.
(和訳) たくさんの報告書を完成させないといけないので、私は土曜日に出社しました。
この場合、「たくさんの報告書を完成させないといけない」というのが相手にとって新しい情報なので、聞き手からは「あなたは、そんなに報告書を作らないといけなかったのね!?」という驚いたような反応がくることになります。
以上のように、あなたが『これから新しい根拠を出しますよ』という意図を持って何かを説明したい時は、”because” を使うと伝わりやすくなります。
since はお互いに知っていることを理由にする時に使う
一方で、sinceは、相手がすでに知っていることを話したい時に使います。
「すでに知っている」というのは、以下の3つの場合のことです。
- 誰でも知っているような常識など(例えば、iPhoneが流行していることを理由にする時に、since iPhone is very popular…と話すような場合)
- 以前に自分が話していて相手もよく知っていること(例えば、自分の家族構成を話したことがある人に、since my brother is…と話すような場合)
- 目の前で起きている状況を見れば言わなくてもわかるようなこと(例えば、雨が降ってきたので、傘を買わないとねと言いたい場合など)
一般的に、上記のような場面でsinceは使われているので、ネイティブの人がsinceという言葉を聞くと、『ああ、これから、私も知っていることが理由として説明されるのだな」というふうに捉えるわけです。
ということで、あなたが『あなたも既にご存知の理由の通り…』というニュアンスを伝えたい時は、”since” を使うと、正確に相手にメッセージを届けることができます。
because と since の違いと使い分け
ではここで、 because と since の違いをまとめたいと思います。
- because は、相手が知らない理由を話す時に使う。
- sinceは、相手もすでに知っている理由を話す時に使う。
先ほどの「たくさんの報告書を完成させないといけないので、私は土曜に会社に行きました」という事例で比較してみると、
because の場合
I went to the office on Saturday because I have to complete a lot of reports.
(ニュアンス含めた意訳)土曜日に出社したんだよ。実は、たくさんの報告書を完成させないといけなくてさ。
(想定される相手の反応)えっ、そんなに報告書を作らないといけなかったの!?
since の場合
I went to the office on Saturday since I have to complete a lot of reports.
(ニュアンス含めた意訳)土曜日に出社したんだよ。あなたもよく知っている通り、たくさんの報告書を完成させないといけなくてさ。
(想定される相手の反応)そうよね、あなたの部署って作らないといけない報告書が多すぎよね。もっと人を増やしたらどうかしら。
いかがでしょうか? 比較してみると明確に違いがわかると思います。
as の意味と because との使い分け
as もsinceと同様に、すでに相手が知っていることを話す時に使います。
したがって、使うビジネスシーンとしては、sinceと同様に、『あなたもご存知の通りだと思いますが、こういう理由で・・・』という場合に使います。例えば、以下のように。
As I didn’t have any time yesterday, I couldn’t make a draft meeting material.
(ニュアンスを含む意訳)あなたも知っての通り昨日は時間がなかったので、会議資料のドラフトを作ることができませんでした。
実際に使うシチェーションとしては、一緒に1日中会議に出席していた同僚に、「昨日、一緒に会議に出ていたからわかると思うけど、ぜんぜん自分の時間がなかったから、ドラフトを作れなかったんだよ(理解してくれよ)」というような場合でしょうか。
これがもし、まったくこちらの状況をしらない相手であれば、ちゃんとbecauseを使って、新しい情報として説明した方がよいと思います。
as のニュアンスと since との使い分け
上記の項目で、as と because の違いはわかっていただけたかと思います。では、as と since の違いと使い分けはどうでしょうか?
アメリカでは、理由や原因を説明したいときは、asよりもsinceの方がよく使われるようです。
asは、もともと同時性や同等性と行ったニュアンスを持っており、理由や原因よりも広い意味をもっているからです。
つまり、asを使うと色々な意味の可能性を思い浮かべるので、理由や原因の意味だと瞬時に把握しにくい、というわけです。
参考までに、DDM英会話さんのページでasのコアイメージがわかりやすく解説されていましたので、以下に引用しておきます。
as のコアイメージとは?
さまざまな使い方がある “as” ですが、そのコアイメージは「2つの並べられた物・事が等価の関係にある」です。つまり、“as” が使われている文章では、何かと何かがイコールであることを伝えようとしているのです。
引用元:DMM英会話ブログ
言葉だけではわかりにくいと思うので、as の同時性というニュアンスがわかる例文を以下に用意しました。
The phone rang as I arrived at my desk.
(和訳)私が自分のデスクに着いたとき、電話が鳴った。
これは「会社の自分のデスクに着いた」と「電話が鳴った」という2つの事が、同時におきたことを意味しているだけです。そこには、何も因果関係はありません。つまり、2つのことが偶然起きただけ、というニュアンスが伝わります。
一方、もし誰かが私が出社したのをどこからか見たうえで電話をかけていたとしたら、asではなく、becauseにするのが良いわけです。(または、すでに知られている内容であればsince)。
The phone rang because I arrived at my desk.
(和訳)私が自分のデスクに着いたので、電話が鳴った。(つまり、誰かが私がデスクに着いたのを見ていて、電話をかけた)
この場合は、「会社の自分のデスクに着いた」と「電話が鳴った」の2つの事柄は因果関係があるというニュアンスが伝わります。
このように、asは、2つの出来事の因果関係を説明する時には、あまり適していません。もちろん、使えなくはないですが、正確に意味を伝えにくくなるので、大事なプレゼン資料などで使う場合は注意した方が良いです。(私は、因果関係を説明する時は、because か since を使うようにしています)。
まとめ
いかがでしたでしょうか。because, since, as の違いについて、最後にまとめます。
- 相手が知らないことを理由として説明したい時は、because を使う。
- お互いに知っていることを理由として説明したい時は、since か as を使う。ただし、as は理由 としてのニュアンスを把握しにくいので、since の方がベター。
異文化圏の方とコミュニケーションをする時は、しっかりと理由を添えて主張していかないと通じません。日本人のように、「阿吽の呼吸で・・」とか「空気を読んで・・・」というわけにはいきません。
そして、理由を説明する時に必要になるのが、このbecause, since, as であり、これがこちらの主張を伝える時のキーポイントになります。
伝えたいメッセージによって、この3つ(特に、becasue と since )を使い分けることができれば、ワンランク上のコミュニケーションができるのではないでしょうか。