仕事でメールをもらったとき、「この人は何を言いたいのか、イマイチよく分からないなあ。」とか、「結局、何をして欲しいのだろうか。」とストレスを感じたことはないでしょうか。
そういう場合は、他の人も同じように思っているもので、大抵は、その後から各方面から質問の嵐が飛び交うことがあります。(いわゆる、炎上しているケースです)
一方で、仕事ができる人のメールは、読み手に配慮された内容で、ストレスなくスムーズに理解することができます。
私は今の仕事で、日本のシニアマネジメントの方やグローバルのカウンターパートとよくコミュニケーションするのですが、その中で、メールがうまい人は仕事もできる方ばかりです。
この記事では、仕事ができない人のメールの特徴を紹介した後に、仕事ができる人はどんなことを考えて、どんな所に気を遣ってメールを送っているのかを説明していきたいと思います。
仕事ができない人は、どんなメールを送っているのか
まずは、いわゆる仕事ができない人の共通点を探っていきたいと思います。
以下の5つは、社会人を対象としたアンケートで、この人は仕事ができないと感じた時のメールの特徴です。
第1位 返信が遅い 81人(31.3%)
第2位 文章が長い 72人(27.8%)
第3位 ムダなやりとりが多い 31人(12.0%)
第4位 件名がわかりにくい 25人(9.7%)
第5位 1文に区切りがなく長い 22人(8.5%)
第1位のメールの返信が遅いというのは、また別の問題なので、今回の記事では触れないことにします。
第2位と5位は、同じようなカテゴリーで、文章の作り方に問題がありそうです。
第3位は、そもそものコミュニケーション方法に問題がありそうなパターンです。
第4位は、メールの目的・成果物をしっかりとイメージできているのか心配な事例です。
私もこれらの事例に心当たりがあり、元上司に何度も怒られていた過去があります。皆さんも、もしかしたら、少し心当たりがあるのかもしれません。
大事なのは、自分が日々送っているメールが相手にとって気持ち良いものかどうかを自問自答し、常に自己改善を図っていけるかどうかだと思います。
さて、以下の項目からは、私が一緒に仕事をしてきたグローバルで活躍するプロダクトマネジャーから学んだ、メールの考え方をお伝えしていきます。
仕事ができる人は、消去法の結果、敢えてメールを選択している
アンケート結果の第3位にあった「ムダなやり取りが多い」の原因ですが、これを分析していくと、おそらく、”メール以外のコミュニケーションをうまく使えていない可能性” に行き着くのではないかと思います。
もうちょっと正確にいうと、メールとメール以外の選択肢の使い分けができていないことが原因で、コミュニケーションがうまく行かずに、仕事がなかなか前に進まないというケースといえます。
「メールを使うのは最後の選択肢」
これは私がプロダクトマネジャーとして働いている時の、上司や同僚の口グセでした。
プロダクトマネジャーという仕事柄、社内や社外の色々な部門のマネジメント層やプロジェクトメンバーとのコミュニケーションが必要になります。
そこには、簡単に確認できることから、色々な部門の利害関係を調整しながらwinーwin関係を探ることまで、多種多様です。
とにかく、解決することが山積みで忙しく、その様々な部門に話を聞きに回っていたら時間が足りないので、手っ取り早く関係者にメールを送る、という方法がとられがちです。
しかし、そういう “とりあえず” 送ったメールは大抵失敗して、かえって問題を大きくしてしまい、後から火消しに余計に時間がかかってしまうのです。
それを経験で知っているので、私の周りのプロダクトマネジャーは、以下のような順序でコミュニケーション方法を選んでいました。
- できる限り、相手の席まで足を運んでFace to faceで話す。
- 相手が海外にいるとか、外勤中であれば、電話で話す。
- 電話も無理な状況であれば、初めてメールを選択する。
- メールを選択したとしても、必要に応じて、後からface to faceか電話でフォローする。
これが「メールを使うのは最後の選択肢」という意味です。
この意味を本当に理解している人は、”言いたいことを長々と書いたメールを送信して終わり” なんて仕事の仕方はしないはずです。(まあ、私も昔は良くやっていたので、恥ずかしい限りなのですが、苦笑)
ということで、「とりあえずメールを送っておこう」ではなく、「目的を達成するために、どんなコミュニケーションの手段を使うのが良いかな?」と考えるクセをつけましょう。
仕事ができる人は、メールを打つ前に、目的・成果物を明確にしている
『そもそも、あなたは、なぜメールをするのでしょうか? そのメールで相手に何を期待しているのでしょうか?』
何を隠そう、私がプロダクトマネジャーの時に、上司からのコーチングでよく言われたのがこの言葉です。
私が少し曖昧な回答をすると、すかさず、「なぜ?」「目的は何?」「最終的に何を得たいの?」という質問が矢継ぎ早に飛んでくるのです。
その質問に何度もハッと気づかされて、自分が取るべき最善の行動や最善の選択肢について、考えさせられました。
メールをするということは、必ず2つのことを考える必要があります。
- あなたがメールを送る目的
- あなたがそのメールで達成したい成果(相手にして欲しい行動)です。
逆にいえば、これらについてちゃんと考えられていないメールは、「何を言いたいのかわからない。」「何をして欲しいのかわからない。」と言われるメールになってしまいます。
例えば、あなたが作成している文書を上司にチェックしてほしい時は、目的は、【レビュー依頼】であり、成果物は【上司がチェック済みの文書】になります。
また、あなたが新しい企画書をシニアマネジメント層に通したい時は、目的は、【提案】または【承認依頼】になり、成果物は【企画書の承認】です。
もし、あなたが有用な情報を入手し、チームメンバーに展開しておきたかったら、【情報共有】または【報告】になり、成果物は【同じ情報をチームメンバーが知っている状態】です。
そして、それを明確に伝えるために、メールの件名に【レビュー依頼】、【提案】、【承認】、【情報共有】、【報告】という簡潔な言葉をつけてあげると効果的です。
これはグローバルとのやり取りでも全く同じで、私も【Review request】とか【Proposal】とか【FYI (For your information)】といったようなフレーズを件名の最初に書くようにしています。
こうすると、件名だけで、読み手に起こして欲しい行動を伝えられるので、読み手もストレスなくメール本文に入っていくことができます。
いかがでしたでしょうか。
もし、今のご自身の仕事のパフォーマンスに自信がないと思うのであれば、「あなたは、相手に、どんな行動を起こしてほしいのか?」という点を考えながらメールを送るようにしてみてください。劇的に仕事力が上がっていくことを実感できると思います。
毎日の積み重ねが大事です。これを続けていけば、必ず自分の仕事のパフォーマンスに自信が持てるようになると思います。(全く仕事ができなかった私でさえ、変わることができたので、安心して実践してみてください)
この記事があなたの仕事のお役に立てれば、これ幸いです。