うまく行っているプロジェクトチームや組織に共通する点は何だと思いますか?
それは、うまく行っているプロジェクトや組織には、必ず素晴らしい『リーダー』や『マネジャー』がいるということです。
約1年ほど前から購買関連の部門横断的プロジェクトにアサインされているのですが、そのプロジェクトは、いつも全体方針をまとめるのに時間がかかり、やっとまとまっても、その後の関係各所との合意がなかなか進みません。
簡単に言うと、リーダーとマネジャーがうまく機能していないのです。
今まで、色々なプロジェクトに参加し、またプロジェクトマネジャーとしても働いた経験から、ここまで生産性と推進力が低いプロジェクトには出会ったことがありません。
改めて、プロジェクトの成功には、リーダーやマネジャーのパフォーマンスが大きな部分を占めることを実感しているところです。
これは組織においても同じで、パフォーマンスが上がらない組織を見ると、組織のトップに原因があるケースが多いです。
ロシアには「魚は頭から腐る」という、ことわざがあるそうです。
魚と同じように、チームや組織が腐る時は頭からです。組織のパフォーマンスは、リーダーや組織ヘッド次第なのです。
この記事では、プロジェクトの成功や組織のパフォーマンス最大化を目指すのであれば、そのトップの人選を特に注意するべきだという話をしたいと思います。
事例: ライフネット生命の取締役に若手を抜擢
まず最初に、新規契約を順調に増やしているライフネット生命の事例です。
ご存知の方は多いと思いますが、ライフネット生命は、インターネット直販により、より安く生命保険に入れるサービスを提供し、20代から40代までの比較的若手の層から支持を集めている生命保険です。
そのライフネット生命の取締役会長の岩瀬 氏のインタビューの中に、『誰を経営陣に迎え入れるか?』という点に、とてもこだわりが見えたので以下で引用したいと思います。
今期から取締役に38歳と33歳の若手も抜擢しています。実はこうした施策は、すべて社内向けの強烈なメッセージなんです。要するに、力があれば年齢に関係なく大きな仕事ができるということを示しています。
(引用元:東洋経済オンライン|会社の成長は「誰をバスに乗せるかがすべて」)
岩瀬 氏は、これからのライフネット生命のさらなる成長のために、長年の経験や知識があるベテランではなく、より伸びしろのある若手を抜擢し、会社と一緒に成長していくメッセージを打ち出しました。
インタビューにあるように、こんなに若手を大抜擢するとなると、社内にも社外にも強烈なメッセージが届いたと思います。きっと、若手の推進力で、ライフネット生命は成長していくのではないでしょうか。
そして、岩瀬 氏は、こんな風にも言っています。
会社が成長するかどうかは、「誰をバスに乗せるかがすべて」です。その意味で、私たちは採用にこだわっています。
ここでの『誰をバスに乗せるか』という考えは、有名なコリンズのビジョナリーカンパニー2の引用です。
少し、コリンズの誰バス理論(と略して呼ぶ人が多いです)について触れておきます。
コリンズの誰バス理論(ビジョナリーカンパニー2)
ビジョナリーカンパニー2の著者であるコリンズは、偉大な企業に成長した会社を調査し、その共通点を以下のように報告しています。
今回の調査を始めた時、良好な企業を偉大な企業に飛躍させるためには、新しい方向や新しいビジョン、戦略を策定し、次に新しい方向に向けて人々を結集するのだろうと我々は予想していた。
調査の結果は、全く逆であった。偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずバスの目的地を決め、次に目的地までの旅をともにする人々をバスに乗せる方法をとったわけではない。
まず適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。
“このバスでどこに行くべきかは分らない。しかし、分っていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ”
この、「誰をバスに乗せるか」というたとえ話が、いわゆる『誰バス理論』と呼ばれる所以です。
以前、定年間近で逃げの体制になっていたバス運転手(部門長)の下で働いたことがあるのですが、数年も経たずにその組織は解散してしまいました。
組織の命運は、そのトップが握っているということを身を以て痛感した次第です。
ビジョナリ-・カンパニ- 2 /日経BP社/ジェ-ムズ・C.コリンズ