なぜ勉強するのか? グローバル企業の現場で感じる学習の重要性

みなさんは、中学・高校生の時に、『なぜ、こんなに毎日勉強しないといけないの?』と思ったことはありませんか?

うんうん、やっぱりありますよね。(『いや、ないです。』と答える人はそんなにいないでしょう、笑)。

今となっては、当時の辛い思い出は忘れてしまっているのですが(喉元過ぎれば・・というやつです)、現役の中学・高校生はさぞかし大変だろうな、と思うわけです。

そんな現役で勉強に励んでいる中学生を対象にした『なぜ勉強しなければいけないのか?』という興味深い講演を見つけたので、この記事で紹介すると共に、今、私がグローバル企業で働く中で思うところも書きたいと思います。

四天王寺中学で行われた講演『なぜ勉強しないといけないのか?』

演者は『ミライの授業』『武器としての決断思考』などのベストセラー作家として知られている瀧本哲史氏です。 瀧本氏はエンジェル投資家としても活動していて、オトバンクという会社の取締役にも名を連ねています。

瀧本 哲史(たきもと てつふみ)は、日本のエンジェル投資家、経営コンサルタント。京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授、株式会社オトバンク取締役。

麻布高等学校、東京大学法学部卒業。高校時代はオリエンテーリング部に所属。大学在学中は第一高等学校・東京大学弁論部に所属。学部卒業と同時に東京大学大学院法学政治学研究科助手に採用。専攻は民法、指導教官は内田貴。助手の任期終了後は学界に残らず、1997年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、エレクトロニクス業界のコンサルタントを担当。2000年より、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建に取り組む。

現在はエンジェル投資家として活動する傍ら、京都大学では「意思決定論」「起業論」などの授業を担当。全日本ディベート連盟代表理事、全国教室ディベート連盟事務局長を務めるなど、ディベートにも造詣が深く、2011年出版の著書『武器としての決断思考』では教養とディベートの重要性を説いた。

(引用元:Wikipedia)

さて、そんな瀧本氏の「勉強をすることの本当の意味」という講演は、以下のような論理展開でした。

  1. 資本主義社会の今の世の中では、人にできないことをやって価値を生み出す必要がある。
  2. そのためには、人が知らないことを知る必要がある。つまり、勉強が必要。
  3. 今の世の中は、昔の人たちが生み出してきた知識や技術(これを魔法とたとえています)を効率的に学ぶことができる。
  4. これまでの知識・技術を効率的に学んで、次なる新しいものを生み出すことが、これからの世の中で生きていくために必要。だから、勉強は必要。

講演内容には色々な具体例が散りばめられていて、中学生にも理解しやすいよう工夫がされている印象でした。

そんな例の中でも、特に私が共感したのが、以下のテクノロジーの進化によって、誰でもできるような単純作業の仕事がなくなっていく、、、という未来です(すでに現実でも起きていますが)。

 資本主義の進歩と歩調を合わせ、社会に巨大な変化を起こしているのが、「テクノロジーの進歩」だ。人々の働き方にも巨大な変化をもたらしているその実例として、瀧本氏はスクリーンに二人の男性の写真を投影した。

「この人たちは何をしているんでしょうか?
「駅員さん」「キップを切ってます」

片方の写真の駅員は、何十枚も並んだキップを前にして座っている。昔は駅に自動販売機が無かったので、乗客の行き先を聞いて、その値段のキップを駅員が手売りしていたのだ。

「それが今はどの駅もこうなっていますよね」と、瀧本氏は自動改札の写真を次に投影する。

「駅員さんだけではありません。最近AIの進化にともない、あらゆる仕事がどんどんコンピュータ化されています。皆さんが大人になる頃には、『答えが決まっている仕事』のほとんどは、コンピュータや人工知能を搭載したロボットが行うようになることが確実です」

引用元:現代ビジネス編集部

定例業務はAIに置き換わり、これまでの社員・派遣社員の仕事が減っていく時代になる

なぜ、この内容に共感したかというと、私の会社でも、昔は社員がやっていた単純作業や定例業務が現在の派遣社員の仕事になっていき、さらにその仕事もコンピューターやシステムに置き換わり始めている、という事実を目の当たりにしているからです。

その背景には、企業が世界経済の中で熾烈な戦いをしながら、利益をあげる必要があり、そのためにはコスト削減が必要で、その手段としてヒトの代わりにテクノロジーを使って行かざるを得ない、という状況があります。

ところで、会社経営の中で、もっとも経営を圧迫するコストは何だと思いますか?

多くの場合は人件費やそれに付随するコストです。 結局、「何かモノを作ろう、サービスを作ろう」とした場合、それをするための自社または外注先の人件費が多くのコストを占めるわけです。

利益をあげるためには、コストを下げるのは鉄則ですから、必然的に余剰人員や “何かに置き換える” ことができる人材は減らして行くのが普通です。

瀧本氏が言うように、今後、AIが進化していき、AIが社員と同じ仕事ができるようになったらどうなるか?

例えば、こんな場合が起きるかもしれません。

  • AIよりもヒトを使った方が割高:1年間のAI使用料が3,000万円。一方、AIと同等の仕事をする社員が10人で、年間の人件費が6,000万円。
  • AIの方が質もスピードも早い:AIは誰でもいつでもシステムにアクセスすれば、一瞬で必要な情報が手に入る。社員の場合は、それなりの業務のお願いをしないといけなく、また社員の情報検索の時間も確保してあげないといけない。

さて、あなたが経営者だったら、AIと社員のどちらを選ぶでしょうか?

こんな時代、まだまだ先の話でしょう? と思うかもしれませんが、私はそう遠くない未来の話だと考えています。

すでにAIは国内大手企業も活用し始めている事実

みなさんは、IBM WatsonというAIを知っていますか? すでに国内でも多くの企業が導入を始めているAIです。

コールセンターやテレフォンオペレーターの支援、社内問い合わせ対応、採用活動の一次エントリーシート評価、などなど、活用事例(IBM Watson 活用例)は多岐に渡りますが、内容を見てみれば分かるように、今まで社員・派遣社員がやっていたであろう “比較的単調ではあるが、ボリュームが多い業務” にAIが活用され始めています。

これは瀧本氏が講演の例にあげていた、切符を切っていた駅員が自動改札機に置き換わった事例と同じと言えないでしょうか?

この事実が示すことは、我々は今やっている仕事・できている仕事に満足していてはダメだということです。

特に、あなたが今、AIでもできそうな仕事をやっているのであれば、危機感を持って将来を考える必要があると思います。10年かそこらで、AIが普通にビジネスに組み込まれている時代が来るかもしれませんから。

中高生もビジネスマンも同じ。学ぶことの本当の意味とは?

瀧本氏は講演の最後を、以下のようなメッセージで締めくくっています。

「皆さんはまだ若いから、自分たちの物語を作ることができる。自分で脚本を描いて、自分が主役を演じることができる。どこにでもいる女子中学生で、何者でもないからこそ、何者にもでもなれる可能性を持っている。

でも『何者か』になるためには、世の中のみんなが知っていることを知る必要があるし、みんなが知っていることを、違う角度から見られるようになる必要がある。そのためにも、今皆さんが取り組んでいる勉強を、がんばってください。今日の講義はこのへんで終わりです。くれぐれも、数学が大切ということは忘れないでくださいね」

中学生にとってはまだ自分の将来の仕事の形が見えていません。それは一方では、”何者” にもなれる可能性を持っているという、とても希望に満ち溢れるメッセージだと思います。

一方、我々のように、社会に出てビジネスの一線で働いているビジネスマンはどうでしょうか?

私は、やっぱり、ビジネスマンも中高生と一緒で、何歳になったとしても、”何者” にもなれる可能性を秘めていると思います。

でも、可能性はいつまでたっても可能性のままです。可能性を形にするためには、それを形あるものにしないといけません。

では、どうやって形にしていくのか? そのための第一歩が “学ぶ” ということなのだと思います。ビジネスマンは中高生とは違いますから、勉強するだけでは足りず、もっと色々なことを考え、学ぶということです。

そして、学んだ先にある『他の人ができないことをできるようにする』ことが、”何者” かになる近道だと思います。

例えば、同じチームの中で自分しかできないことを作る。それを発展させて、会社の中で自分にしかできないことを作る。さらに、日本の中で自分にしかできないことまで成長させる。最終的に、それが、世界の中で自分しかできないことになれば、それこそが、”何者” になった証明です。

ここまで大それたことを考える必要はないかもしれませんが、少なくとも、AIが日常に溢れる未来が来るまでに、AIにはできないような、かつ、会社の中でも自分しかできないような領域(もちろん、それが会社にとって必要な仕事という前提)を作っておく必要があります。

そのためには、やっぱり、もっともっと勉強し、経験し、学んで行かないといけないと思います。

今の自分の知識・経験で満足せずに、より良い付加価値を提供できるように、日々成長して行くことが、これからの社会では、より一層求められるのではないでしょうか。

そんな自分たちの置かれている現実を踏まえた上で、もし私が演者だったら、こんなことを中高生に伝えると思います。(自分の子供が中高生になったことを想像して言っています)

『君たちは社会に出たら、勉強してテストで良い点を取るよりも、もっともっと難しいことをしないといけなくなる。 

当然、戦う相手は同学年だけじゃなく、人生のはるか先輩から自分の後輩たちまでになるし、さらに、日本以外のアメリカ、ヨーロッパ、新興国のあらゆる人たちと競争になる。

もっというと、これからはヒトだけに限らず、AIやロボットとも争わないといけなくなる。 こんなに厳しい時代を生き抜いて行くには、自分の知識と経験を広げる他にはない。 その方法は、学ぶ、ということです。

一つ一つのことを大事にして、そこから一つ一つ学んでいってください。

学校の授業は言わずもがなですが、一生懸命に打ち込む部活動からも、ビジネスで戦って行くためのマインドセットと自己成長の方法を学べます。

そうやって、自分の得意なこと、自分にしかできないこと、そして、それで周りの人や世界の人を喜ばせる方法を見つけていってください。

それを見つけることができれば、そこにはAIなんかに追いつかれない価値があるでしょうし、何よりも、そこにはやりがい喜びがある、あなただけの、面白い人生があるはずです。』

以上です。

追伸1:学校は勉強を教える場であるとともに、『なぜ勉強する必要があるか?』ということも教える場であって欲しいなと思います(少なくとも、私の中学・高校では、こういう事を教えてくれる先生は稀でした)。

追伸2:この記事にまさにピッタリの名言があったので参考に載せておきます。

いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ちあがり、歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない。その過程を飛ばして、飛ぶことはできないのだ。
- ニーチェ -(ドイツの哲学者、古典文献学者 / 1844~1900)

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ippo

本サイトの運営者。社会人になった後、周囲から仕事ができないと思われて、自分の人生が真っ暗闇に感じた辛い日々を過ごす。その後、奇跡的な復活劇を遂げ、その勢いのまま、グローバルプロダクトマネジャーを経験。全く喋れなかった苦手の英語もビジネスで会話ができるレベルまで押し上げ、2019年6月からはアメリカに赴任し、グローバル・リーダー/マネジメント達と仕事をしている。 専門分野は、プロジェクトマネジメント、アカウント・ファイナンスなど。自分のように、仕事で悩んでいる人や大きな壁を感じている人が現状打破できるように、という想いで本サイトを立ち上げた。