なぜ、私たちは新しいものや新しい体験、いつもと違うことや変わったことに魅かれるのでしょうか?
ある研究では、新しいものに触れると意欲や学習効果が高まると報告されています。
もし、あなたが日々の仕事に慣れてきていて、あまり成長を感じられないなと思っているのなら、この記事を読んで見ると、何か発見があるかもしれません。
【事例】東京のカプセルホテルでの異国体験!?
先日、10年ぶりに東京(上野)のカプセルホテルに泊まった時のことです。
いつも通り、サラリーマンや学生で溢れているだろうと思ってホテルに入ったのですが、そこは想像とは全く違う、異国世界でした。
エレベーターを降りて宿泊階に着くと、いきなり壁一面に歌舞伎の描写が目に飛び込んできます。

そして、フロアを歩いている宿泊客のほとんどは外国人。色々な国・人種の人がいて、日本人は少数派。お風呂・サウナに入っても、外国人ばかりで、英語でもないよくわからない言葉が飛び交っていました。
カプセルホテルのお作法も私よりも外国人の方が詳しいくらいで、まるで異国の土地に足を踏み入れた感覚でした。
最初は、こんなことなら普通のビジネスホテルに泊まっておけばよかった、、、と後悔していたのですが、少し経つと、なぜかとても面白くなってきて、カプセルホテルでのこの異文化体験に脳からドーパミンが出ているのを感じました。
それと同時に、とてもモチベーションが高まっているのを感じたのです。
なぜ、モチベーションが高まったのか? 不思議に思ったので、少し調べてみました。
【研究報告】新しいものに触れると、意欲が高まる理由とは?
UCL認知神経科学研究所のEmrah Duzel博士は、「新しいものは学習を助ける」と説明しています。
*訳
新しいものを目にすると、私たちは、何らかの形で報酬が得られる可能性があると考えます。
この可能性が、報酬を見つけ出そうとする意欲を高めるのです。刺激に慣れた場合、脳はそれが報酬と結びつくものではないと学習し、報酬の可能性は消えます。
まったく新しいものだけが中脳を活性化し、ドーパミン濃度を上昇させるのは、このためです。
https://www.ucl.ac.uk/news/2006/aug/novelty-aids-learning
ドーパミンとは、やる気、記憶、行動と認識、注意、睡眠、気分、学習などの様々な範囲に影響がある脳内の神経伝達物質です。
我々人間の先祖は、大昔の厳しい時代から、どうにかして食べ物を探して生き残ろうとしてきました。その時に重要なことが「新しいもの、場所、機会」です。
そのために、人間の本能の中には、新しいものを見ると自然にやる気が出て、それをもっと深堀りして行こうというメカニズムが組み込まれているのです。
このメカニズムの一つがドーパミンが増える仕組みであり、これによって、私たちは新しいものを見ると、自然と体と心が前向きに反応していくようなのです。
もう少し詳しい話は、Lifehackerさんの『脳は「新しいこと」が好き:特性を生かせばもっと賢く学習できる』の記事で解説されていたので、興味がある方は読んでみるとよいかもしれません。
【具体例】簡単に学習効果や記憶効果を高める方法とは?
学習効果や記憶力を高めるには、具体的に何をすればよいのでしょうか?
自分のルーティンを持っている人ほど、簡単です。
そのルーティンから外れるように意識すれば、日常生活でも新しさに出会うことが簡単にできます。今回の事例で言えば、「ビジネスホテルに泊まらず、普段は使わないカプセルホテルに泊まってみる」などです。
他にも、たとえば、
- いつもと違うルートで帰宅してみる
- 普段なら行かない場所にいく
- 普段なら着ない服を買って着てみる
- 普段なら読まないジャンルの本を読んでみる
- 普段なら観ないジャンルの映画を見てみる
- 普段は聞かない音楽を聴いてみる
- 普段とは違う人とランチをしてみる
- 仕事場のレイアウトや照明を変えてみる
- 誰かと一緒に旅行に行く人なら、一人で旅行してみる
などです。もちろん、東京のカプセルホテルに宿泊するのもオススメです(笑)
私がよくやるのは、いつもは行かない場所に行って学習や作業をする方法です。場所を変えるのが難しい時は、目を瞑って新しい音楽を聴けば、それだけで全く違う場所を体験できるので、その後に学習すれば効果が高まります。
これらは一例ですが、普段はあんまりやらないなあ、と思うことにこそ、モチベーションの塊が埋まっているかもしれません。
みなさんも、なんとなく毎日がルーティン化されているなあと感じたら、敢えて普段はやらない機会・場所に飛び込んでみるとよいかもしれません。
きっと、脳内のドーパミンが大放出されて、日々の仕事や学習の効果が高まるはずです。