現在(執筆時2020年3月)、グローバル会社でアメリカに赴任中のIppoです。
最近、日本チームと会議をした時に、あまりの目的意識のなさと準備不足に唖然とすることがありました。
我々、日本人がグローバルで戦っていくためには、言語の問題以前に、まず会議への取り組み方から考え直さないとダメだと感じたので、今回事例を交えながら考察していきたいと思います。
会議資料はなくても問題はないが、、、
私が所属するアメリカのファイナンスチームは、日本のファイナンスチームと毎月テレカンを持っています。
もともとは、私が日本にいた時に、今のアメリカ上司とやっていた1 on 1 が始まりで、それが段々と大きくなったという経緯です。
会議の主な目的は、日本側からのプロジェクトアップデートなのですが、、、
会議当日になっても、日本側から何の連絡もなかったようで、私の上司が『今日は日本チームから何も会議資料が来てないみたいなのよね、Ippoが日本にいた時はあったのに、、』とポロっと不満をこぼしていたのです。
まあ、別に会議資料なんて無ければ無いに越したことはないのだから、とは思いつつも、一抹の不安を抱えながら上司とともに会議室に向かうのでした。
口頭での説明が難しいのであれば、会議資料は準備すべき

いよいよ、テレカンが始まります。
まずは会議設定していた上司がファシリテートをしていくのですが、日本のメンバーは受け身の受け応えに徹しており、自発的に、『今日はこのトピックを話したいんだ!』というメッセージは出てきません。
横で見ていて、だんだんと不安になってきます。
そして、上司が『何か日本からトピックはないの? 例えば、プロジェクトAはどう?何かアップデートはある?』と振った時に、不安は的中することになります。
日本チームから、しどろもどろになりながら、プロジェクトAの報告が始まるのです。
明らかに、事前に何をどう話すか準備していた様子はなく、突然振られて、話す内容を思い出しながら喋っている様子で、英語の文法もロジックも崩れていて、何を言っているのか理解ができないのです。
結局、本来の役割ではないのですが、私がアメリカ側で日本チームの言いたいことを補足説明してあげるという状況になったのでした。(日本にいた時に、プロジェクトAを担当していたので、背景を知っていました)
口頭だけで説明できるのであれば、ミーティング資料は無ければない方がいいです。無駄な資料を作ることは給料泥棒ですから。
でも、英語に苦手意識があって、なおかつ、プロジェクトAのことが頭に叩き込まれてないのであれば、それをカバーしてくれる資料は準備しておくべきではないか、、、と私は思うのです。
でないと、せっかくお互いに時間を使って会議をしているのに、その時間と人件費が無駄になってしまいます。
問題は資料の有無ではなく、会議への目的意識である
今回の日本チームの問題点は、資料を準備していなかった点ではありません。
会議の前に、『事前に何を話そうか?』とか、『今日の会議ではこれを達成するんだ!』という目的意識が薄かった点です。
もし、その目的意識があれば、会議資料はなくとも、会議のトピックが事前に送られてきたり、会議の冒頭でも、今日話したいトピックについて言及があったはずですから。
そして、そのテレカンでは、まさかのサプライズも飛び出します。
会議中盤で、『そういえば、、』というような話の流れで、『提携会社との交渉が進んでいて、7.5億円を来月支払わないといけないかも』という爆弾を投下してきたのでした。
アメリカサイドは、もう混乱状態です。
そんな話は初耳だし、いったい何の費用なのか?
なんでそんな規模の金額がいきなり出てくるのか?
そして、直近の中期計画にも計上していない金額だぞ、、と。
こんなに大きな話であれば、もっと前の段階からキッチリ理由を説明したうえで、アメリカチームの了解をもらわないといけない話であり、口頭でサラッとサプライズするようなレベルではないのです。
むしろ、それこそ、今回の会議でしっかり資料準備してディスカッションすればよかったのに、と。
最大限の準備をして、それでも力及ばずという状況であれば、「ナイスファイト! 次で挽回しよう!」というエールも送れるのですが、今回のケースはそもそも、試合に出る準備ができていないように私には思えたのです。
会議における目的意識とは? 自分は会議で何を達成したいのか?

今回の事例に限らずとも、こういうケースは色々な会議で見られます。
相手がどこまで事前準備してきたかどうか、というのは、すぐにわかります。
私が普段仕事しているグローバルプログラムマネジャーは、やはり会議や打ち合わせのプロなので、
たとえ、30分の1on1の情報共有でも、事前にこんなこと話そうよというトピックを共有してくれます。(まあ、当たり前の話なのですが)
その時間で最大限の成果を得ようと意識しているからです。
また、私が日本にいた頃にアメリカ上司と1on1をやっていた時は、英語力に問題があったので、必ず要点だけをパワーポイントに箇条書きにして説明をしていました。
ポイントを列挙しておくだけなので、サクッと作れますし、当日のディスカッションで話が脇道にそれても、忘れずに本題に戻って来れます。
これは私のケースなので、別に英語が得意なのであれば、今日はこのトピックについて話したい、と冒頭で話せばいいだけで、資料はいりません。
一方で、なんの準備もせずに会議に出てきて、『で、何やるの?』という参加者や、
とりあえず会議だけ設定して、あとは参加者任せの主催者など、
日本でもアメリカでも、そういう場面に遭遇することはあります。そういう人をみると、会議に出てくるだけ時間が勿体無いよなあ(人件費が勿体無い)と思ってしまいます。
大事なことは、会議をする前に自分の中で会議の目的を明確にしておき、自分なりの準備をしておくことなのです。(もちろん、自分がオブザーバーとして呼ばれただけだとしても、その意味を考えて、自分なりの会議のゴールを持っておくべきです。)
そんなこと当たり前だという人もいるかもしれませんが、毎日4つや5つの会議があると(もっとある人もいるかもですが)、つい忘れがちになってしまう方も多いです。
プロフェッショナルなスポーツマンは、全ての試合に、万全の準備をしていきます。
我々も、プロのビジネスパーソンとして、全ての会議に、目的意識と準備を怠ってはいけないと思うのです。
まとめ:会議前に、自分の中で会議の目的を明確にしておく

会議における目的意識とは、具体化すると、以下のような問いです。
- その会議では自分は何を達成したいのか?
- そのためには、誰に参加してもらうのか?
- 参加者に何をして欲しいのか?
- そのためには、事前にどんな要求を参加者にしておくのか?
- そのためには、自分はどんな準備をしておくべきか?
- その準備には資料作成も含まれるか?
- その資料は会議前に送っておいた方がいいのか?
この質問を考えれば、自然と、必要なトピック、必要な準備、必要な資料が出来上がるはずです。
なので、逆に、自発的に何のトピックも出てこないのなら、『ああ、この人、何も考えずに会議に出てきたんだ、、』と思われてしまうのです。
よく、会議の非生産性というテーマで『会議は無駄だとか、時間を短くすべきだ』という意見が出てきますが、
それよりも本質的な議論として、上記のような点を各々が考えてくれば、自然に会議の生産性が上がるのになあ、と思います。