あなたは今の自分の仕事に満足していますか?
私の会社には、この質問に対して「Yes」と考えている社員が多いように思います。
特に、高給の幹部社員ほど顕著で、何かを変えようと行動を起こす意識が希薄です。
私が思うに、我々は生まれた時、“後ろ向きに進むエスカレーター” に乗せられているのだと思います。
現状に満足して何もしなければ、どんどん後退して行き、社会から取り残されてしまいます。そうならないように、力強く、前に足を進めなければならないのです。
この記事では、偉人の名言を参照しながら、我々のビジネスマインドにどのように転用するべきか考察していきたいと思います。
渋沢栄一のビジネス名言:満足と思う=衰える時
1840年〜1931年に生きた日本資本主義の父と言われる渋沢栄一は、こんな名言を残しています。
『もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である。』
渋沢氏は、大蔵省を退官後、当時の第一国立銀行の頭取に就任し、その後は、東京海上火災保険、王子製紙、東急電鉄、秩父セメント、帝国ホテル、東京証券取引所、キリンビール、東洋紡績などの様々な企業の設立・経営に関わった偉大な人物です。
現代経営学では誰もが知るピーター・ドラッガーは、この渋沢について、以下のように述べています。
率直に言って、私は経営の「社会的責任」について論じた歴史人物の中で、かの偉大な明治を築いた偉大な人物である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界の誰よりも早く、経営の本質は「責任」に他ならないということを見抜いていたのである
渋沢氏の数々の業績をみていくと、現状に満足せずに、新しい事業を立ち上げることにチャレンジし続けたことがよく分かります。
もし、彼が過去の業績に満足していたのであれば、ここまでの後世にまで残る財産を残せなかったのではないでしょうか。
この渋沢氏の話ですが、我々が働く業界内や会社内、もっと範囲を狭めて行けば、我々が所属する組織内にも適用できるのではないでしょうか?
今の自分が任されている仕事は、このままのパフォーマンスでよいのか?
今の自分の組織の役割は、このままでよいのか?
もっと、会社や顧客に対して付加価値をつける余地はないのか?
我々一人一人が、現状に満足せずに、もっと他者の為に貢献できることを探して行動を起こしていかないといけません。
福沢諭吉のビジネス名言:進まない=後退
かの有名な福沢諭吉の名言にも、こんなものがあります。
『進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。』
渋沢氏の名言よりも、もっと具体的で危機感を感じるような名言だと私は思いました。
私の元上司に、新しいことにチャレンジせずに、今まで通りやり過ごそうというマインドの方がいました。(Aさんと呼ぶことにします)
当時私がいた部署は、組織の中でも割と自由度があって、組織横断的な取り組みを推進できる立場にいました。ただ、その組織のトップであるAさんは、変化を好まず、自ら新しい道に進もうとはしませんでした。
そんな状態が続いた結果、私の上の幹部クラスの人材がどんどん組織から逃げていき、ほぼ骨抜きになったその組織は解体され、Aさんも会社を去ることになりました。
ここで私が実感したのは、リスクを取って前に進まない人は、結局、後退を余儀なくされるのだ、ということでした。
イチローのビジネス名言:同じ練習+違う考え ≠ 同じ結果
前に進むとは、どういうことなのでしょうか?
それはゼロからイチを作り出すようなクリエイティブな活動だけでなく、今あるものをよりよくする活動にも当てはまると思います。
イチローは、こんなことを言っています。
『同じ練習をしていても何を感じながらやっているかで、全然結果は違ってくる。』
素振りを1000回やるとして、何も考えずに、何も変えずに、1000回素振りをするのと、改善を重ねながら、1回1回の素振りを重ねていくのとでは、最終的な結果は大きく変わります。
我々の仕事でも同じで、たとえ同じ業務であっても、もっと質を高める方法はないか? もっと効率化できないか? を考え続けることが重要です。
同じ仕事をさせても、仕事ができる人がよいパフォーマンスを出すのは、その人が持っている問題意識が違うからです。
同じような作業だったとしても、そこに少しずつ違いや変化を出せていけるか?
これこそが、前に進むことなのではないでしょうか?
まとめ: 厳しいビジネスの世界で生き抜くために
世界の経済状況は決してよいとは言えません。表面上は問題なさそうに見えていても、その裏では様々なリスクが渦巻いています。
そして、我々を取り巻く外部環境はますます変わっていきます。各企業は自社の利益率を維持するために、コストカットを推進し、その結果、今までは人間がやっていた仕事が機械に代替されて行きます。
昨今の急激なロボット技術やAIの発達により、すでに一部の人間の業務がなくなってしまっています。
実は、我々が乗っている “後ろ向きに進むエスカレーター” の速度が上がっているのです。
これに気づいている人は、自分自身の歩くスピードを上げたり、速度が緩やかなエスカレーターを探したり、と自分で現状を変えて行っています。
今の状況に満足していると、いつの間にか、後ろに進むスピードに抗えずに、この社会から退場を余儀なくされる可能性があること、ぜひ留意しておいてください。(私も頑張ります)