『これは自分には無理。荷が重すぎる!』と思う仕事を打診されたことはありますか?
その時は、『できません』と即答するのではなく、
そういった逆境は、あなたが急成長する機会です、間違いなく。
私自身のこれまでの経験から、できないと思う仕事ほど挑戦するべきだと思います。
自分自身で、あがいて、苦しんで、もがいた結果は、必ず後になってあなたの仕事や人生に生きてくるからです。
少し、私の事例を紹介したいと思います。
ミッション:複雑なシステムアルゴリズムをエクセルで再現せよ
私がプロジェクトマネージャーからファイナンスに異動して2ヵ月が経った頃の話です。
まだ、マニュアルに頼りながら毎月の月次決算を進めたり、システムを使ったりというレベルで、初心者マークは外せない状況でした。
そんな中、外部監査がそろそろ入るという話が持ち上がり、その監査法人から、システムのアルゴリズムを、実際にエクセルで再現して欲しいというリクエストが来ました。
ファイナンスチームのベテランたちでさえ、システムのアルゴリズムを再現するなど、想像もつかない仕事だったようで、誰も進んで引き受けようとはしていませんでした。
にも関わらず、、何を血迷ったのか、『その仕事、任せてください』と手を挙げた人間がいたのです。
そう、私です。
その時の私の知識・スキルはというと、システムはとりあえず作業レベルで使えるだけ。また、エクセルに関しては、Vlook-upぐらいしか使えない状況でした(それまで、現場やプロジェクトマネージャーばかりだったので、ほとんどエクセルを使う機会がなかった)
正直な話、経理担当者からしたら、ど素人と言われても仕方がないレベルです。
その当時、誰しもが思ったであろう言葉は、
『え、お前がやるの?(お前ができるの?)』
だったに違いありません。
とはいえ、誰もやりたがらなかったので、その仕事はすんなりもらえました。
必要なこと(エクセル)は全てGoogleが教えてくれる
大見得を切ったものの、いざ始めてみると、当たり前ですが、もう困難の連続でした。
そもそも、『こんなロジックを組みたい!』と頭の中で思いついても、どんな計算式がエクセルにあるのか知らないので、どうやって形にしたらいいのかわかりません。
いや、そもそも、形になるのかどうかもアタリがつかないのです。
仕方がないので、ひたすら、Google先生に聞き続ける毎日でした。例えば、以下のように。
『〇〇したい エクセル 関数』
『○○の方法 Excel 数式』
『もう嫌だ Excel』
おっと、最後に何か変な検索ワードが混じってしまったようですが、そんな風に作りあげたモデルで計算を走らせてみるのですが、ことごとくシステムの結果と合わなかったのです。
そんなに世の中甘くないよなあ、とボヤきながら、どのセルがおかしいのか、どの関数がおかしいのか、を探す作業に戻っていたのを覚えています。
また、当時の私は異動してまだ浅かったこともあり、通常業務すら追いついていなかった状況でした。
それもあり、基本的にモデル作成は業務終了後の夕方からスタートし、毎日終電近くになって時間切れで、退社するという日々でした。(働き方改革が叫ばれる今では、ここまで時間を使えないと思いますが)
遂にモデルが完成し、監査法人にお披露目される
そんな形で、1カ月ほど残業を重ねた結果、やっと、それなりに結果が出るプロトタイプができたのです。
その後、1-2カ月の間、実際の月次決算で使いながら、システムとエクセルのデータバリデーションを進めた結果、ほぼ全部のプロジェクトで使えるモデルを構築できたのです。
そして、本番の外部監査法人への説明の際、そのエクセルモデルを見せて説明したところ、『このモデル、凄すぎる、、』とボソッと監査法人の方が呟き、このエクセルモデルをぜひ提供してくださいと言われるまでに至ったのでした。
もちろん、その監査も問題なくパスしました。
困難の末に獲得したスキル・経験はあなたを裏切らない

この結果は、業績の方にもある程度加味されたのですが、それよりも、エクセルのスキルが劇的に向上したのと、システムアルゴリズムへの理解が深まり、誰よりも月次決算の手続きに詳しくなったことが何よりの成果でした。
そして、時は流れ、、、
アメリカに赴任した後の話まで飛びますが、先日、当時と似たようなリクエストがアメリカの監査法人から来たのです。
もちろん、誰もその仕事を取りたがらないので、、(笑)
『じゃあ、日本で似たような経験があるので、私に任せてください』ということで引き受けました。
ただ、当時もかなり時間がかかったから、少なくとも2週間くらいはかかるかもしれないよ、というセーフティーネットも張ったうえで。
だいぶ忘れているだろうなあー、と心配になりながらも、『いざ、勝負!』ということで、早速、モデル構築を始めたところ、
なんと、今回はたったの1日でモデル構築完了できてしまい、速攻で上司やチームメンバーに提出できてしまったのです。
アメリカでも誰もアルゴリズムをエクセルで再現したことがなかったようで、かつ、あまりにも超速で出来上がってしまったので、『Brilliant job!』と周りから大感謝されました。
結果、アメリカでも、システムアルゴリズムや月次決算の数字に疑問が出たら、私に質問がくる形になりましたし、アルゴリズムのトレーニングなども最近はやっています。
結局、もがいて、苦しんで、あがいた末にたどり着いた経験やスキルは自分を裏切らないものだ、と実感したのでした。
難しくて、できないと思う仕事は、ブルーオーシャンかもしれない

これらの経験から思うのは、誰もやりたがらない領域かつ難しい内容は、競合が少なくブルーオーシャンになっていることが多いということです。
そして、そのブルーオーシャンでは、頑張れば、自分がその分野でNo.1になれる可能性が眠っています。
さらにいえば、競合参入が少ないので、そのNo.1のポジションを維持しやすいというメリットもあります。
マーケティングの分野では、よく『弱者の戦略』や『ランチェスター戦略』と言われたりするのですが、戦うべき場所を絞って、ある特定の分野でNo.1になることは、自分の市場価値を高めていく上でとても重要な生き残り戦略なのです。
私のケースでは、周りのネイティブスピーカーたちと比べると、逆立ちしても、コミュニケーションの速さと深さでは勝てないので、別の分野で、周りの同僚との差別化を図るようにしています。
アメリカでも日本でも、どこでも同じですが、周りができることを一生懸命追いかけるよりも、周りができないことにリソースを割くことの方が価値になるのです。
まとめ: できないと思う仕事こそ、逆転の発想で考える
自分にはできないと思う仕事が来た時ほど、逆転の発想で考えてみてはいかがでしょうか?
つまり、もしこれを達成できたら、どんな知識と経験を獲得できるだろう?
その知識と経験があれば、さらにどんなことにチャレンジできるようになるだろう?
もし、その知識と経験を身につけたら、どんなキャリアに繋がるだろう?
とはいえ、実際には不透明な点が多すぎて、先を見通せないこともあるでしょう。
でも、不透明ということは、何か素晴らしいチャンスが先に眠っているかもしれない、という意味でもあります。
だからこそ、できないと思っても、そこで回避せずに、正面からぶつかっていくと、数年後には、想像できなかった世界にいけるかもしれません。
いま、もし、あなたが困難の道に行くかどうかの選択を迫られているのであれば、ぜひ、怯まずにチャレンジする道を選んでみてください。
短期的にはシンドイですが、きっと後からこの道を選んで良かったと思える日が来るはずです。
この記事があなたのチャレンジを後押しする一助になれば、これ幸いです。