みなさんは、『悩む』と『考える』の違いを説明できますか?
時間を使って考えているにも関わらず、物事が前に進まない時は、実は『悩んでいた』だけなのかもしれません。
『悩む』と『考える』の違いについて、意識している人は少ないかもしれませんが、自分の中で言語化し、区別できるようになると、これかの我々の人生や仕事にとても役立つのではないでしょうか。
「悩んでいる」とは一体どういう状態なのか?
みなさんは、どういう時に「悩み」ますか?
また、「悩んでいる」時、自分がどういう状態になっているか説明できますか?
私の場合は、シンプルです。
悩んでいる時というのは、「そこ」に向かうことを躊躇っているときです。
「そこ」というのは、言い換えれば、「ゴール」や「進むべき道」、「進みたい道」と表現できます。
例えば、私がアメリカ勤務が決まるもっと以前に周りに言っていたこんな言葉です。
『ビジネス英語ができなくて悩んでいるんです。もっと英語を上達させたいです』
正直なところ、この頃は、本気でビジネス英語を学習しようという気持ちはありませんでした。
そして、実際に、ビジネス英語習得のための一歩を踏み出してすらいませんでした。
もし、本気でビジネス英語をモノにしたいと考えていたのであれば、「悩んでいる」ではなくて、『ビジネス英語をモノにするために○○に取り組んでいる』と話していたでしょう。
つまり、「悩んでいる」状態にあるとき、実は我々は本気で「そこ」に行く気がないのかもしれません。
言い換えれば、「ゴール」や「進むべき道」、「進みたい(と願っている)道」に対する「決意が固まっていない」状態なのではないでしょうか。
「悩む」と「考える」の辞書的な意味の違いとは
私は言葉の意味や定義で迷った時は、参考として辞書の意味を調べるようにしています。
ということで、辞書での「悩む」と「考える」の意味です。
「悩む」=「結論が出なくて苦しむ。思いわずらう」
「考える」=「物事について、論理的に筋道を追って答えを出そうとする」
三省堂 大辞林
ここで面白いのは、「考える」という意味からは、「答え」を出そうとする決意が読み取れます。
「答え」とは言い換えれば、「ゴール」や「進むべき道」のことです。
つまり、「考える」というのは、進むべき方向が見えていて、そこにいく決意を持った行動と読み取れるのではないでしょうか。
他の方の「悩む」と「考える」の定義
他にも色々と調べてみると、「悩む」と「考える」の違いについての意見がたくさんあったので、参考になったものを紹介します。
「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること。
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に答えを組み立てること。
イシューからはじめよ (安宅和人)
こちらは、私が好きな「イシューからはじめよ」という書籍からの抜粋です。
「悩む」とは、答えを出すことを初めから望んでいない状態なのかもしれません。
「悩む」ケースでは、問題があいまいなまま、いきなり解決策にたどり着こうとすることが多い。
例えば、ユーザー企業から「最近、商品在庫のだぶつきが目立ってきた」という相談を受けたとしよう。(中略)
「だぶついている」とはどういう状態か。だぶついているのはどの商品か。どうして「目立っている」と感じるのか。ユーザー企業の誰にとって問題なのか。
こうしたことがあいまいなままで、解決策が適切だという根拠を示せるわけがない。
「悩む」のではなく「考える」ための処方箋(日経TECH)
こちらの記事での「悩む」ケースでは、ゴールが見えていない状態を意味しています。
ユーザー企業が「何をしたいのか?」というゴールを一つずつ明確にしていかないと、進むべき道(解決策)も見えてこないということですね。
私は看護師として、病気や死と向かい合わなければならない人の支援をしています。
患者さんたちは、「悪いこともしていないのに」「どうして、私が・・・」という思いを抱くと共に、「怒り」や「不安」「悲しみ」などのネガティブな強い感情に支配されます。
結果、現状を許すことができなくなり、悩む続けることになります。
考えるためには、病気や死を受け入れて、その先のゴールを見据えて、自分で生き方を選択しなければならないのですが、それが難しいです。
悩むよりも考える! その違いが人生を有意義にする
この方の記事は、病気や死という誰にでも関係するトピックに基づいて考察されています。
いずれ私たちも、「死」と向き合わなければならない日が来ると思いますが、その時に、決意をもって「悩む」という状態から抜け出せるのかどうか、、
現状を受け入れて、その先を見据えた「考える」という段階にいけるのかどうか、という考えさせられる内容です。
ほかの方の意見もみてみると、「悩んでいる」時というのは、自ら先に進むことを躊躇っている状態のように思います。
「考える」段階にいくには、どうやら、答えを出す決意を持って行動する必要がありそうです。
あなたは今、「悩んでいる」のか、「考えている」のか?

長いようで短い人生の中で、我々は日々色々なことに対処していかないといけません。
時には、言葉と、気持ちと、行動がちぐはぐになっていて、物事がうまく進まないこともあるでしょう。
例えば、
- ビジネス英語がもっとできるようになりたいと考えている
- 来週に控えた大事なプレゼンや商談について考えている
- 自分や家族の将来について考えている
- 家庭内の揉め事について考えている
- お金について考えている
- 友人関係について考えている
−−−はずなのに、なぜだか考えがうまくまとまらない時、、、
そういう時は、本当に「考えていた」のかどうかを、第三者の目線で俯瞰して見直してみるとよいと思います。
私もよくあるのですが、「考えている」つもりが、実際にはゴールもあいまいで、なおかつ決意もないまま「悩んでいる」だけであったという場合があります。
そこに客観的に気づくことができれば、大きな前進になります。
何か煮詰まった時には、自分は今「悩んでいる」のか、それともゴールに向かって「考えている」のかを自身に問いかけてみてください。
たった1つの問いかけだけで、止まっていた物事が前に進むようになるかもしれません。