PREP法というプレゼンや企画書を作成する際の強力なフレームワークをご存知でしょうか?
PREP法とは、ビジネスで何かを主張・提案する時に使う文章構成方法で、以下の4つの要素の頭文字をとっています。
- Point : 結論
- Reason : 理由
- Example : 具体例
- Point : 結論
私は頻繁にアメリカの同僚や上司とメールや電話をしているのですが、優秀なビジネスパーソンほど、このPREP法の話し方でコミュニケーションをしてきます。そしておそらく、彼らはPREP法を無意識に使っています。
アメリカはさまざまな慣習や文化的背景を持つ人が集まっていますから、その中で効果的なコミュニケーションをしようとする中で、自然にこのPREP法のフレームワークが身についていくのだと思います。
そんな彼らと付き合っていくためには、やはりこちらもPREP法を使うのが効果的です。そして、このPREP法は日本人同士のビジネスでも当然使える優秀なフレームワークです。
この記事では、グローバルはもちろん、国内ビジネスでも使えるPREP法について、事例を交えながら説明していきたいと思います。
PREP法とは?
PREP法は主にビジネスシーンで用いられる文章構成方法であり、簡潔かつ説得力のある文章を作成する際に用いられる。 最初に結論を伝え、次にその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示するストーリーを展開する。
(引用元:Wikipedia)
ということで、やることはシンプルです。以下の順番で話す。これだけです。
- Point : 結論
- Reason : 理由
- Example : 具体例
- Point : 結論
PREP法の4つの要素と事例
それでは、4つの要素の中でどんな話をしていけばよいでしょうか。ここからがPREP法のミソです。
4つの要素を理解する上では、ずっと使われている英語圏の説明をみるのが手っ取り早いと思うので、探してきました。以下、引用・和訳しながら解説していきます。(原文 引用元:Ace Impromptu Speeches With the PREP Framework)
Point (結論)
Point – Introduce your speech with your main point. Focus on one point only, so it’s easier for your audience to comprehend.
まず、あなたが伝えたいメインの主張を話す。主張は一つに絞ると聞き手は理解しやすくなる。
このPointの部分は、本当に大事です。なぜなら、聞き手に対して、あなたの最終的な意思を表明する項目だからです。
言い換えれば、あなたがこれからどんなストーリーを話そうとしていて、最終的にどこに着地するのか?というゴールイメージを伝える項目だからです。
例えば、『あなたはこの案に賛成ですか? 反対ですか?』というYes or Noの二択を聞かれているとしましょう。その場合は、賛成なのか・反対なのか、まずはあなたのポジションを示しましょう、ということです。
これが賛成か反対か言わずに、『この案を採用すると◯◯というメリットが得られます。一方で、採用しないと◯◯というデメリットが想定されます、、、以下略』というようにダラダラと話し出すと、聞き手は『結局、この人は何が言いたいのだろう?』とイライラし始めます。
ちなみに、グローバルとの会議でこんな話し方をすると、一発退場です。『So, what?(で、何が言いたいの?)』とか、『So, what is your main point?(で、あなたの主張な何なの?)』という厳しい質問がきて、しどろもどろになり、その後の主張に説得力がなくなってしまいます。
上記はYes/Noのクローズド・クエスションの場合でした。一方で、『あなたはこの案についてどう思いますか?』というオープンクエスチョンの場合もあります。
この時も、まずは『私は◯◯したら良いと思います。』というように、まず最終的に言いたいこと(あなたのポジション)を言うことが大事です。
そうすると、聞き手はゴールイメージがわかるので、落ち着いてそのあとの理由や具体例を聞こうかな、という気持ちになります。
大事なので、繰り返して言いますが、結論(最終的に言いたいこと)が一番最初です。これはグローバルとのコミュニケーションに限らず、日本のビジネスでも重要です。
Reasons (理由)
Reasons – Tell your audience why you think the point is true. Back this up with research and statistics to add credibility if you have these to hand. If not, simply speak from the heart.
なぜあなたがそう思ったのかを聞き手に話す。理由に信頼性を持たせるために、研究結果や統計データを持っておくと良い。それがなければ、シンプルに心から話せば良い。
Reason(理由)は、あなたの結論が納得感をを持って相手に受け入れられるかどうかを左右するキーポイントです。
ここの理由が的を得ていないものだと、あなたの結論が急に説得力のないものになってしまい、最悪の場合は結論がひっくり返されることになります。
例えば、『もっと社内文書の電子レビュー化を進めていくべきだと思います。なぜなら、重要書類の回覧が遅いことが我々の組織の問題点だからです。』という主張と理由を話したとしましょう。
でも、聞き手は、そんなことを言っているけど、本当に遅いのかな? とすぐには納得してくれません。
そこで、『実は、企画提案書の回覧の開始から終了までに平均して2週間もかかっています。これは他社と比較すると約2倍です。』というような根拠データを示してあげると、聞き手はより客観的に状況を把握できるようになり、腹落ちしやすくなります。
「文書の回覧が遅い」というのは、人によって捉え方がマチマチになりますが、「文書回覧に2週間かかっていて、他社の2倍」というのは、事実であり、そこに疑いの余地は少なくなるからです。
このように、あらゆるビジネスシーンでは、理由を示すというのは、結論の説得力を高めるために非常に重要なポイントになります。それと同時に、データを使って理由を説明できると、さらに信頼度を高めることができるわけです。
Example (具体例)
Example – Highlight an example (or several) that supports your main point and your reasons. Again, back this up with data if appropriate.
あなたのメインの主張や理由をサポートするような事例を紹介する。ここでも、信頼性を持たせる適切なデータがあれば良い。
次はExampleです。具体的な事例は、あなたの主張や提案に現実味をもたせてくれます。そして、聞き手は具体例を聞くことで、頭の中で鮮明なイメージを膨らませるようになります。
具体例は、聞き手の心の中にあなたの主張や提案を受け入れやすくするスペースを作ってくれる、とても大事なステップと言えます。
例えば、先ほどの文書の電子レビュー化で話すと、
『実は他社で同じような導入事例があります。電子レビュー化の導入によって、企画提案書の社内承認までの時間が2倍縮まったという報告があります。』とか、
『すでに、ある部門で試験的に導入してみた結果、文書回覧の期間が従来よりも1週間縮まりました。実際に導入した部門からは、工数削減効果も相まって、良い評価をいただいています。』というように。
この具体例の部分では、数字やデータを提示しながら話すと、より客観的な根拠として納得感を得やすくなります。
Point (結論)
Point – Wrap up your mini-speech by reiterating your main point so that it sticks in people’s minds.
メインの主張を反復して、あなたのスピーチをまとめる。すると、聞き手の心にしっかりとあなたの言いたかったことが残る。
最後に、もう一度、Pointを話します。
今まで理由と具体例を相手にインプットしてきたこともあり、聞き手は今、冒頭の状態よりも何倍もあなたの言いたいことが伝わりやすい状態になっています。
しかし、結論 => 理由 => 具体例 という流れで話してきたので、初めの結論の印象が薄くなってしまっているかもしれません。
ですので、今一度、ここで結論を持ってきます。
例えば、以下のようなフレーズを使いつつ、言いたかったことを簡単にまとめると効果的です。
- 以上から、
- ですから、
- 色々と話しましたが、
- 繰り返しになりますが、
このようなフレーズを使いつつ、Point (結論) を最後に繰り返すことで、あなたが本当に伝えたかったメッセージを聞き手の心にしっかりと残すことができます。
まとめ:PREP法での話し方・文章構成・フレームワーク
最後にPREP法の話し方を簡単にまとめます。
- Point : 結論 (最初にあなたの最終意思を表明する。これで、聞き手はあなたの話のゴールイメージを持てるので、安心してその後の理由/具体例を聞くことができる。)
- Reason : 理由(次に、結論の説得力を高めるために、なぜあなたがそう思ったのかを話す。抽象的な理由だと、人によって解釈がバラバラになるので、疑いの余地が少ない客観的なデータを示すと説得力が増す。)
- Example : 具体例(具体的な事例を話すことで、聞き手が頭の中でイメージできるように促す。これによって、あなたの主張や提案がより現実味を持って聞き手に受け入れられる。ここでも、数字やデータを示せると納得感を得やすくなる。)
- Point : 結論(もう一度、結論を繰り返す。ここに至るまでの流れで、冒頭の結論の印象が薄れているため、もう一度リマインドする目的。また、理由や具体例を知ってもらった上で、もう一度結論をいうことで、最も効果的にあなたのメッセージを伝えることができる。)
以上です。PREP法は何気ない日々のコミュニケーションから、ビジネス文書やプレゼン資料にも効果的に使えるフレームワークです。なぜなら、どれも相手に自分の意思・意図を伝えるという行動だからです。
すなわち、相手に何かを伝えたいという場面であれば、このPREP法がそのまま使えるということになります。そして、きっと、あなたの仕事(もちろん、プライベートも)を強力にアシストしてくれるツールにもなります。
とは言っても、『PREP法をどうやって使ったらいいの?』 と思われた方は、この記事の各項目をもう一度読んでみてください。PREP法の順序が意識されて書かれていることに気づくと思います(それがそのままPREP法の具体例かつ実際の使い方です)。
明日からのあなたの仕事にこの記事が役立ってくれれば、これ幸いです。長文にも関わらず、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。