従業員数万人の会社の社長候補から聞いた組織改革にまつわる話

従業員数万人の会社の社長候補から聞いたビジネス組織論

以前から、将来の社長候補と一緒に仕事ができる機会があるのですが、その人が考える組織論を聞けたので、忘れないうちに記録に残しておこうと思います。

ちなみにこの方、大学院の研究者時代では論文を何報も書いたスーパー研究者、その後は海外の超エリートMBAを取っていて、もちろん英語もネイティヴレベル。

さらに、戦略コンサル出身で、今の私の会社に来た動機が『戦略コンサルで練ったプランがなぜ事業会社でうまく実行されないのか確かめたかったから』という、猛烈に仕事ができる方です。

まだ私とそこまで年齢が変わらない中堅の年齢にもかかわらず、実力は雲の上の存在レベルです。

今の組織の上層部を一掃して、新しい組織を作るには10年は必要

その方は、全世界に数万人の社員がいる私の会社の中の数少ない日本人リーダー候補で、将来の社長候補のレールにのっています。それも公式に。

なので、彼はあと1ヶ月もしないうちに、ヨーロッパの事業会社に異動になり、その後はすぐに、カントリーマネジャー(その国の事業会社の社長)になる予定です。

そんなスーパーマンが私の所属する今の組織を見て言った言葉です。

『今の部長が全員一掃されて、今の30代から40代の中堅がそのポジションにつかない限り、この組織は輝かない。』

これは、この方が、今の部長全員と仕事をしてきた経験上の言葉であり、そして部長陣のパフォーマンスを物語っている事実です。

確かに、今の部長陣は以下のような状況で、

  • 現場の情報を自分で取りにいけない。
  • 情報が上がってきても咀嚼して理解できない
  • 結果、問題に対して判断できず、問題がいつまでも解決されていかない

これが、組織のあらゆる場面で、悪循環を起こしています。

急速に外的環境が変化していく中では、この判断と動きの遅さは致命的なのです。

とは言え、今すぐ、その部門長たちを辞めさせて、中堅社員を部長に抜擢できるのか?

という問題もあります。

彼は、そこを指摘していて、仮に部長陣を一掃できたとしても、今の中堅社員がいきなり部長になるには、まだ経験値が足りない、と言うわけです。

そして、本当の意味で、今の中堅社員が経験値を貯めて部長になるまでには、5-10年は必要なので、組織を本格的に変えるには10年はかかる、と言うことです。

組織改革には、5年後に輝ける人と10年後に輝ける人の両方が必要

次に面白いのが、組織改革に10年かかるにしても、2つのタイプが必要ということです。

  1. 今、ある程度芽が開きかけていて5年後に輝ける人(バランス型)
  2. 今、視野が狭い猪突猛進型だが10年後にはキレキレの人材になっている人(大器晩成型)

まずは、現時点で、ある程度会社のビジネスを広く見れている中堅社員が5年後の最短ルートで部長を目指し、彼がその後の5年を繋いでいる間に、視野は狭いが突破力のあるキレキレの中堅社員が10年後の部長を目指す、というリレーのような組織体制です。

なるほど、そういう風なタイムスパンで組織の人材育成を見るのだな、と目から鱗が落ちました。

そして、幸いにも彼から見て、私は5年後の部長を狙える人材に映っているようで、とても発破をかけられたわけですが、

それはさて置き、そういう風に10年単位で組織と人材の将来を見通せる感覚を私は持っていなかったので、とても新鮮に感じました。

5年後に輝ける人材(最短距離で部長昇進ルート)になる理由

今までは、私は出世にはあまり関心はなく、同期が先に昇進していっても、特に嫉妬も覚えず、単に面白い仕事ができたらいいので、興味なし、と思っていました。

ところが、最近、どうしても組織の壁というか、職位の壁を感じるようになりました。

実務的には、幹部社員クラスの仕事をしていても、意思決定の表舞台には立たせてもらえなかったり、実際の意思決定の権限がなかったりというケースです。

例えば、計画立案や交渉アプローチなどを全部作っているのですが、それを表舞台で部門の代表として話すのは、やはり部長なのです。

これはもはや、実力というよりも、その職位と権限による違いです。

たとえ、自分ならもっとこんな伝え方ができるのに!  とか、もっとこんなアクションやリーダーシップが取れるのに!  という考えがあっても、それができる立場ではないのが、歯がゆく感じることが増えました。

まるで大臣の国会答弁をみているかのように、気持ちや想いが込められているはずの原稿が棒読みされていくのを、ただ見ているだけしかできないのです。

少し前の話です。アメリカに出向することが決まった尊敬する先輩が、

『出世なんて興味ないです、僕は面白いことがしたいだけです』と言い張る私に、こんなことを語りかけてくれました。

『今はそう思っててもいい。今はいい。でもな、面白い仕事がしたければ、絶対に偉くなった方がいい。出世しないとできないこともあるんだ。』 と。

まさに今その状況に陥っているわけですが、自分の頭の中に浮かんでいるプランを自分の手で、自分の熱量で実行していくためには、その意思決定ができるポジションが必要なわけで、そのポジションを得るには、やはり、出世に興味がないと言ってはいられないのだと最近感じます。

もうすぐ、ヨーロッパに飛んでしまう、そのスーパービジネスマンの言うとおり、もっとビジネスで付加価値を生んで面白い仕事をしていくには、職位にも果敢にチャレンジしていく必要がありそうです。

従業員数万人の会社の社長候補から聞いたビジネス組織論

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ippo

本サイトの運営者。社会人になった後、周囲から仕事ができないと思われて、自分の人生が真っ暗闇に感じた辛い日々を過ごす。その後、奇跡的な復活劇を遂げ、その勢いのまま、グローバルプロダクトマネジャーを経験。全く喋れなかった苦手の英語もビジネスで会話ができるレベルまで押し上げ、今はグローバルや日本の幹部と直接コミュニケーションをするポジションで仕事をしている。 専門分野は、プロジェクトマネジメント、アカウント・ファイナンスなど。自分のように、仕事で悩んでいる人や大きな壁を感じている人が現状打破できるように、という想いで本サイトを立ち上げた。