超一流のビジネスパーソンほど、たとえ話や比喩の力に長けています。
以前、私の会社の取締役(外国人です)が、組織改革の重要性を訴えるために、以下のような比喩を使ってスピーチをしました。
『我々の組織は “ゴムひも” のようなものだ。常に引っ張っておかないと、すぐに元に戻ってしまう。だからこそ、常に緊張感を持って、様々なチャレンジや厳しいプレッシャーを与え続けないといけないんだ。』
彼は、難しい言葉でカッコつけずに、誰もが知っている “ゴムひも” という言葉を使って、組織改革の重要性を社員に訴えたのです。
このように、比喩やたとえ話は、あらゆるビジネスシーン(プレゼン、営業、交渉、歓送迎会でのスピーチなど)で、相手に何かを伝えたいときに、強力な武器になります。
この記事では、こちらの意図を効果的に伝えることができる「たとえ話・比喩」の重要性について深堀りしていきます。
事例:思わず唸ってしまった「たとえ話&比喩」
たとえ話について調べている時に、感動するほど秀逸なたとえ話に出会いました。
まずは、一緒に、たとえ話&比喩の強力な説得力を体験できたらと思います。
仏壇のじいちゃんに挨拶した?って出る前にマッマに言われて、仏壇に挨拶したらいいのか墓に挨拶したらいいのか…って言ったら、
「仏壇はタブレット、墓はデスクトップ、おじいちゃんはクラウドに保存されている。今からデスクトップをアップデートしに行く」と言われてなんか納得した。— 元鈴木さん (@Motosuzukisan) 2016年6月7日
NHK今日の料理の米粉バナナケーキの説明で「小麦粉と砂糖を抜いてますから、ビートルズで言えばジョンとポールがいないようなものなんです。その哀しみをバナナで埋めるわけです」という凄い例えが飛び出す。
— りょーきんぐにこふあれくせいやこぶれふ (@ryo_king) 2016年5月23日
PC音痴の人に「圧縮?解凍って何?そもそも何でファイルを圧縮掛けて送るの?」って言われたから
「大量に取ってきたワカメをそのまま送ると邪魔だから、乾燥させて送って水かけて元に戻せって事だよ」って伝えたら理解してくれた— アサキ (@ASAKIchikun) 2015年8月9日
どんなに優れていても万人に好かれるのは無理って事はカレーやハンバーグが証明してくれてるし、色んな人に嫌われている様に見えても深く愛してくれる人がいるって事はパクチーが証明してくれてるし、俺たちはもうちょっと気楽に生きてもいいな。
— 春野 海 (@Rock_ozanari) 2017年3月29日
レッグウォーマーを編んでいた時、夫が「ユニクロとかにあったじゃん?買った方が早いんじゃ?」と言うので「じゃああなたは組立完成したガンプラを買って飾るだけで満足できますか」と尋ねたところ、夫は「そのままどうぞ楽しんで」と深く頷いておりました
— Marie (@marie__100) 2014年12月16日
いかがでしょうか。
特に、仏壇のおじいちゃん=タブレットのたとえと、ジョンとポールがいない哀しみをバナナで埋めるという話は、ユニークさも相まって、その発想に脱帽というところでした。
これらの事例を読んでいて分かるのは、秀逸な比喩やたとえ話は、問答無用で人を納得させるチカラがある、ということです。
だからこそ、比喩やたとえ話は超一流のビジネスパーソンに重宝されるわけです。
たとえ話、比喩とは何か?(定義は?)
私はいつも何かを考えるとき、その言葉の定義を調べることにしています。何かモヤモヤしている時は、大抵自分が言語化できていない時だからです。
逆に言えば、言語化されれば、よりその本質が見えるようになるわけです。
ということで、まずはたとえ話の定義です。
<たとえ話の定義>
たとえ話は、複雑な分かりにくい内容を、比喩によって具体的なものの話に置き換えて分かりやすく説明する、短く簡潔な物語のこと。
引用元:Wikipedia
なるほど、たとえ話とは、「比喩を使って、分かりやすい話にする」ということですね。
では、比喩とは何なのでしょうか?
言葉は知っていると思いますが、説明しろと言われると意外に難しいものです。
ということで、この比喩の定義も調べてみます。
<比喩(ひゆ)の定義>
物事を説明するとき,相手のよく知っている物事を借りてきて、それになぞらえて表現すること。その方法により,直喩・隠喩・換喩・提喩・諷喩などがある。
引用元:三省堂 大辞林
なるほど、比喩とは、相手がよく知っている知識を使って説明することなんですね。
これらをまとめると、たとえ話とは、相手の頭の中にある言葉のデータベースにこちらからアクセスしてあげて、『キミの言葉を借りれば、◯◯のことだよ!』と、教えてあげるということだと分かります。
だから、たとえ話や比喩で伝えてもらうと、聞き手は自分の言葉として理解できるので、すぐに腹落ちするわけですね。
一般的に、我々は難しい話を聞いた時は、それを一度自分の言葉で置き換えて理解しようとします。(というよりも、そうしないと理解ができない)
ところが、たとえ話や比喩で話してもらうと、その言葉の変換作業をスキップできるので、ストンと腹落ちして、ストレスなく理解できるというわけです。
これはもう、たとえ話を使わないと損だと思ってきませんか?
ビットコインを事例に「たとえ話・比喩」の思考プロセスをなぞってみる
例えば、『ビットコインが何か分からないので教えてください』と聞かれたら、あなたはどう説明しますか?
ビットコインに詳しい人が普通に説明したら、こうなるかもしれません。
なんとなく分かったような気がする、という感じでしょうか。(私は全く分からないですが、笑)
では、次は比喩を使って説明してみます。
ビットコインとは例えると、金や銀といった貴金属のようなものです。金や銀はもともと誰のモノでもありません。掘り起こした人が所有者になります。そして、その埋蔵量も最大値が決まっています。だからこそ、希少性があります。貨幣のように無尽蔵に印刷できるものでもなく、中央銀行のように誰かに管理されているものでもないのです。
いかがでしょうか?
比喩を使った方がすんなり理解できたのではないでしょうか?
おそらく、一般の方(IT関連に詳しい方除く)の多くは、頭のデータベースにビットコインの技術的な説明を理解できる言葉はないと思います。(もちろん、私もです)
でも、金や銀という貴金属については、おそらくほとんどの方の頭のデータベースに情報が入っているはずです。
だからこそ、上記の比喩は、我々の頭のデータベースにアクセスして、『ビットコインっていうのは、キミのデータベースでいうところの金・銀という貴金属のことだよ』というように、言葉を借りてあげるわけです。
そうすれば、我々はビットコインの技術的な理解をせずとも(技術的な情報が詰まったデータベースにアクセスしなくても)、その事柄を理解することができるわけです。
とても明快で、ストレスフリーです。
この「相手の言葉を借りる」という相手に寄り添う行為こそが、たとえ話や比喩が説得力を持って受け入れられる理由なのではないでしょうか。
まとめ:たとえ話や比喩は相手の言葉を借りて話すもの
いかがでしょうか。最後にまとめたいと思います。
- 一流のビジネスパーソンは、たとえ話・比喩の持つ強力な説得力を知っている。
- たとえ話や比喩とは、相手のよく知っている言葉を借りてきて、難しい話を分かりやすい話に置き換えること。
- たとえ話や比喩をしてもらうと、自分の言葉に置き換えて理解する作業をスキップできるため、理解しやすい。
冒頭の話に戻りますが、外国人の取締役がなぜ “ゴムひも” というたとえ話を使ったのか?
それを考えていくと、
全世界の色々な国、人種、環境で生活する従業員の誰しもの頭のデータベースにある言葉で、かつ、「常にチャレンジをし続ける、そうしないと元に戻ってしまう」というメッセージにリンクした言葉だったから、だと思いました。
“たとえ話” を使うことで、時に、原稿用紙何枚分ものメッセージを、それも理解しやすい形で相手に届けることができます。
明日からのプレゼン、営業、企画提案に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ビットコインとはインターネット上に存在する仮想通貨です。ビットコインは特定の誰かに管理されたものではなく、複数のIT技術を持ったプログラマーが管理し、価値・正当性を保証しあっているものです。ビットコインはネットワーク上でゼロから生み出されるもので、生み出した人が手に入れることができます。また、生み出せる最大値(2100万ビットコイン)が決まっています。