『新人や若手社員は、宴会の幹事をやるべきだ』と言っている上司・先輩には、どうか余計な雑念を貴重な新人・若手に吹き込まないで欲しいと、切に言いたい。
そして、新人・若手のみなさん、安心して断ってください。会社の飲み会幹事を新人や若手に押し付ける上司は、無能上司です。
私は現在(執筆時2020年12月)、アメリカの会社で働いていますが、社内の宴会と呼ばれるものは基本的に管理職が幹事をやっています。
今日も、オンラインでの50人近くのクリスマスパーティーがありましたが、管理職たちで余興も考えて、部下たちを楽しませたり、今年も一年ありがとうという労いの言葉をかけていました。
そして、これが組織としてのあるべき姿だよな、と改めて感じたわけです。
私が若手社員だった頃 (2010年前後) は、飲み会幹事を断るのが非常に難しい時代でした。
それから多少は変わってきたと思いますが、未だに日本では、飲み会幹事は新人・若手の仕事だという “非常識” がまかり通っていることを残念に思います。
【振り返ると哀しくなる】時間と工数をつぎ込んだ若手時代の幹事業

まずは、若手時代に、私がどんな幹事業に時間を浪費してきたか振り返らせてください。
いかに無駄であったのかということをお伝えするとともに、記事にすることで、少しでも成仏させることができたらと思います。
例えば、こんな感じです。
- 新人時代、200人以上の社員が参加する年1回の会社懇親会で、同期入社の女性社員にセーラー服を着てもらって、おニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」を振り付け付きで踊る宴会芸をプロデュース。自身も女装して、お笑い・汚れ役として参加。
- 新人時代、100人以上の会社内運動会の幹事会メンバーの一人として、運動会の準備、飲み会会場の手配などを担当。
- 若手時代、30人のチームのお花見幹事を上司に依頼され、日程調整、お花見の下見、当日の場所取りなど全てを一人で担当。事前に酒屋に足を運び、生ビールを樽ごと借りてきたり、足を運んでいるうちに仲良くなったお店から、寸胴サイズのおでんとカセットコンロを借りて、花見会場に持ち込む。事前にランタンなども買っておき、暗くなってからも、ライトアップされた夜桜を見ることができ、チーム員から喜ばれる。
- 若手時代、50人規模のフットサル合宿を毎年、一人幹事で主催。合宿所まで遠いため、大型バスを2台チャーターしたり、合宿所での余興なども企画・運営。
なんでこんなに幹事を頑張っていたか、疑問に思いませんか?
それは上司に『新人は幹事をやる過程でビジネススキルの基礎を鍛えることができるんだ』と教えられ、
先輩には『宴会の幹事などをやると上司たちに覚えてもらいやすいし、社内の評価も上がるよ』
と言われたからです。
私は、コミュニケーションが下手で、極度のあがり症で、下戸でお酒が飲めなくてビールコップ1杯も飲めませんでした。
でも、それでも、なんとか成長したいという気持ちで、休日の時間をフル活用して、苦手な宴会の幹事業に時間と工数を費やしてきました。
結果、私の仕事力は上がったのか? 社内の評価は上がったのか?
それは、私が入社後8年間、一度も昇格しなかったことを見れば、言うまでもないでしょう。
年功序列の制度が残る会社にも関わらず、一度も昇格せず、入社1年目と同じ階級だったのです。
だから、新人や若手社員のみなさんには、これだけは言いたい。
上司・先輩の言うことを鵜呑みにしなくて良いのだ、と。自分のことは自分でしか守れないのだから。
結局、仕事ができるようになりたければ、本業に力を注ぐしかないのです。
そもそも会社の懇親会の目的とメリットは何なのか?

そもそも、会社の宴会の目的とは何なのでしょうか?
会社の宴会をやることで、誰にメリットがあるのでしょうか?
それは、上司です。
その宴会が、とある部署が開催するのであれば、その部長がもっともメリットを享受できることになります。
宴会を催すことで、部署内のメンバーでのコミュニケーションが活発化します。そうなれば、メンバー間で自発的に問題解決してくれるようになりますし、部長がトラブルシューティングする時間が減るのです。
また、部署内のコミュニケーションが円滑になれば、職場の雰囲気がよくなり、離職率も減ります。それは部長の人事評価に直結するので、部長に一番メリットがあるわけです。
チームビルディングは、管理職の仕事です

上司たちが飲み会を開きたい理由は、一言で言うと、チームビルディングです。
では、チームビルデングは、誰の仕事なのでしょう?
紛れもなく、管理職の仕事です。
上司たちは、新人や若手社員にこう言います。『キミたちのビジネススキル向上にも、幹事業はとても大事だよ』と。
実はその傍らでは、自分がするべき「チームビルディング」という仕事の一番大変な実務の部分だけ丸投げしているにすぎないのです。
したがって、若手社員がいくら幹事業に力を注いでも、そこで得られる果実はすべて上司が刈り取って行きます。
チームの雰囲気が劇的に改善し、離職率が大幅に低下しても、それは新人・若手の成果になりません。
なぜか? そもそも、新人・若手には、チームビルディングの仕事は任されていないからです。
だから、幹事業に多くの時間を注ぐよりも、目の前の本業に力を注いで、早く自分の仕事で結果を出す方が会社のためにもなります。
最後にもう一度、言います。
宴会幹事が嫌なら、新人・若手は断っていいのです。それは管理職の仕事です。
新人・若手のみなさん、空気なんて読まずに幹事なんて断って、もっと本業に力を注いで行きましょう。
新人・若手時代に、無駄に時間を使ってしまった私のようにならないことを願っています。