ウォーターフォールチャート(滝グラフ)と呼ばれるグラフをご存知ですか?
もし、あなたがファイナンス、経理・財務などの職種か、企業の管理職または管理職を目指している方であれば、知っておいて損はないグラフの種類かと思います。
実際に、私は現職のファイナンス(当記事執筆時)として、このウォーターフォールチャートが手放せないぐらい活用しています。
ウォーターフォールチャートを自分のプレゼン資料に組み込むことができれば、数字の説明に強烈なストーリー性を持たせることがきます。
この記事では、ウォーターフォールチャートのメリットや事例、使い方と簡単な作成ツールを紹介していきます。
ウォーターフォールチャートとは?
ウォーターフォールチャートという言葉自体は、あまり馴染みがない方が多いかもしれませんが、企業の決算説明会などで頻繁に使われるので、実は見たことがある方は多いと思います。
例えば、以下のように、TOYOTAの決算資料でも、前年比較を説明するために使われています。

ウォーターフォールチャート(waterfall chart)とは、別名でカスケードチャート(cascade chart)やブリッジチャート(bridge chart)とも呼ばれています。
もともとは、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが使い出したのが始まりです。
特に、コーポレートファイナンスなどの企業の財務関連に携わっている部門では好んで使われます。
私はコーポレートではなくて、事業部門のファイナンスでしたが、アメリカの事業部本社がよくこのチャートを使っていたので、見よう見まねで、使い始めるようになりました。
そして、アメリカ本部に来た今は、このチャートを使いこなせないと仕事にならないぐらい、みんな普通に使っています。
ウォーターフォールチャートを使うメリットとは?
ウォーターフォールチャートの何が素晴らしいかと言うと、プラスの数字とマイナスの数字の動きを見せながら、最終的なトータルの数字に行きつく数字のストーリーを視覚的に伝えることができる点です。
先ほどのトヨタの決算説明資料を例にあげると、前年の数値をスタートライン(ベースライン)として、そこから、為替の影響や、原価削減の努力、営業面の伸長等で、最終的に今期の数字が改善したというストーリーを見せる場合などです。

つまり、ウォーターフォールチャートは、特に以下の2つを伝えたい場面で非常に有効なのです。
- ベースラインから最終着地までの増減を示せる
- どこで(何で)増減があったのかを示せる
経理や財務部門にいる方や、データを扱う職種の方にとってはあたり前かもしれませんが、データ分析をするときは、「どこに、どんな異常値が起きているか?」を洗い出すことが重要です。
そして、その異常値が最終数字にどのようなインパクトを与えているのか?(つまり、無視できるのか、できないレベルなのか)を明らかにすることが求められます。
その時に、単なる数字と表だけで説明すると、なかなか伝えにくいのですが、このウォーターフォールで説明すると、驚くほど分かりやすく伝わるのです。
これがウォーターフォールチャートを使うメリットです。
ウォーターフォールチャートが効果的な場面とは?
ウォーターフォールチャートが有効な場面は、いくつもあります。
例えば、自社のセグメントや地域ごとの増収(前年比)を見やすくまとめることができます。以下のAppleのように。

他にも、こんな場面で有効です。
- 全社の売上予測とプロダクトごとの予測売上を可視化したい
- 全社のP/L (Profit and Loss)を可視化したい
- プロダクトやポートフォリオのP/Lを可視化したい
- プロジェクト予算の編成や変更を可視化したい
- 事業部門の月次予算と実績の進捗を報告したい
私の場合は、単体のプロダクトファイナンスとしての仕事もあれば、プロダクトを束ねるプロダクトポートフォリオとしてのファイナンスの仕事もあるので、上記のいずれの場面でもウォーターフォールチャートにお世話になっています。
皆さんも自身の仕事に合わせて、ウォーターフォールチャートを使えば、簡単かつパワフルに数字を可視化できるようになるはずです。
ウォーターフォールチャートの作り方(エクセル)
ウォーターフォールチャートをExcelで作る方法ですが、2016以降からは比較的簡単になりました。
詳細は以下のブログで書かれているので参照ください。
ただ、Excelのバージョンが古いと作るのに結構手間がかかるので、あまり効率的ではないです。
ですので、私のオススメは、think-cellというアドインです。
think-cell – ウォーターフォールチャートを簡単に作れるPPTアドイン
私が見よう見まねで、ウォーターフォールチャートを日本で手作りしていた時のことです。
アメリカの同僚から、『え、think-cell使っていないの?』という驚き気味の一言。
なんだそれは!? ということで、調べてみると、とても簡単にウォーターフォールチャートやその他の効果的なチャートをお洒落に作れるPower Pointのアドインがthink-cellだったのです。
以下は私が実際に使っているウォーターフォールチャートのサンプルです。

そして、さらに素晴らしいのは、Excelとも連動しているので、Excelの数字をアップデートするだけで、自動的にパワポの数字をアップデートできるという便利さです。
Excelの数字も驚くほど簡単な作り方です。以下のように、表を作るだけで、あとはthink-cellがグラフにしてくれます。

個人で買うと多少値段が高いのですが、会社の業務の一環で使うのであれば、絶対に導入するべきアドインの1つのかと思います。
なぜなら、これだけで業務効率が格段に上がるので、結果として、業務時間が減り(人件費が減り)、会社の収支としてもプラスになるからです。
いつまでもエクセルを力技でこねくり回して、グラフデザインを手作りするのはナンセンスですから。
余談ですが、アメリカでの仕事の仕方で学ぶべき点は、システムやアプリなどで業務効率化できる点はお金を惜しまずに投資する点です。
人件費が高いので、結果的にその方が安上がりだと知っているんですね。
最後に: ウォーターフォール等のチャート作成が多い方は、think-cellを

もし、あなたが、シニアマネジメントや社外関係者に数字やグラフを提供する職種にいて、ウォーターフォールチャートに限らずメッコチャート、バブルチャートなどのチャートをお洒落に効率よく作りたいと思っているのなら、ぜひthink-cellを導入されてはいかがでしょうか?
(注意: 私はthink-cellの会社とは何の利害関係もありません)
きっとあなたの業務効率を劇的に改善できると思います。