『また重たそうな仕事の依頼が来たなあ。でも、今は取り掛かる時間がないので、あとでやろう』
そんなことを一人思いながら、気の進まない仕事の依頼メールをそっと閉じる、というのは誰しも経験があるのではないでしょうか。
そんな風にあとでやろうと思っている仕事ほど、取り掛かるのが遅くなって、あとで締切に追われて大変な思いをする、というのはよくあるケースです。
この記事では、そんな重たい仕事、気の進まない仕事への取り組み方のコツをお伝えしたいと思います。
気の進まない仕事を大きく3つに分けると?
まず、取り掛かりが遅くなりがちな、気の進まない仕事について、大きく3つに分けて考えようと思います。
- 雑務・作業系:やったこともあって時間もかからないが、面倒だと思う仕事。単純に気が乗らないという感情面で後回しにされている仕事。
- 分量多い系:やったことはあるが、最終成果物までに相当の時間と工数がかかることが分かっている仕事。時間的余裕があると、つい目の前の緊急案件を優先してしまい、これも放置気味になりやすい仕事。
- 未経験業務系:やったことがなく、最終成果物が見えない仕事。そのため、誰を巻き込めば良いかも、どうやって進めたら良いかも見えない。結果、どこから手をつけるべきかわからず、放置気味になりやすい仕事。
この中で、1つ目の雑務・作業系は、仮に放置していたりしても大きな問題になりません。緊急性が出て来たら、他の業務を止めて一気にやれば片付くからです。
しかし、下の2つは気が進まないからと言って放置しておくと、後で大問題になるので、なんとかしないといけません。また、そういうことを薄々感じているので、放置しておくと心理的負担がどんどん増えていくという厄介な類の仕事です。
分量多い系の仕事はとりあえずスケジュールだけ組む
2つ目の分量多い系業務は、コツコツと進めていく必要があります。期限が迫って来てから仕事に取り掛かると、時すでに遅しというケースは良くある失敗談です。従って、期限から逆算して、いつから取り掛かるべきかのスケジュールを組んでおくのが肝要です。
一方、時間と工数を集中的にかければ、なんとか完了できる種類の仕事なので、自分だけではどうにもできなくなった時は、上司や同僚の協力を仰いで、一緒に手伝ってもらって完了させる、という最終手段も残されています。
とはいえ、これは頻発すると社内での信頼を失ってしまうので、「明らかに自分に業務不可が集中している」ような緊急時でない限り、避けたいところです。
とにかく、この種類の仕事は、仕事に取りかからなくてもよいので、まずはスケジュールだけ組んでおきましょう。それだけで、ゴールまでの道筋が見えるので、だいぶ気分も楽になるはずです。
未経験系の仕事は甘く見積もらないように注意
さて、一番難しいのは3つ目のやったことがない仕事の場合です。
例えば、最近の私の事例でいうと、以下のようなものがありました。
- 新しいプロジェクトの事業評価
- 新しいプロセス導入に伴う関係部門への影響範囲の洗い出しと分析
- 新しいシステム導入に向けた要件定義の文書レビュー依頼
そして、今までやったことがない仕事ほど、全体像を把握するのが難しいので、以下のようなポイントを甘く見積もってしまう場合が多々あります。
- どれぐらいの難易度の仕事か?
- その仕事の最終成果物は?
- その最終成果物を作るために、誰を巻き込むべきか?
- 最終成果物に結びつけるには、どれぐらい工数と時間がかかるか?
このあたりが分からないと、結局、その仕事にどれくらい時間がかかるか判断がつきません。そして、実はすぐに始めないと間に合わない緊急案件だった、と後で気づいても「時すでに遅し」です。
こんな未経験の仕事を任された時、どうするのが良いでしょうか?
私は、やったことがない仕事を依頼された時は、『すぐに、まず10分でもいいので手をつけてみる』という心がけています。
やったことがない・気の進まない仕事ほど、とりあえず10分やってみる
気の進まない仕事というのは、メール本文や添付資料もあまり読まずに、重たそうな仕事だ、と尻込みしているケースが多かったりします。
でも、10分だけでもやってみれば、メール本文も見れるし、添付資料もざっと目を通せるはずです。そして、その過程でその仕事が以下の3つのどれに当てはまるのかわかってくるはずです。
- 安心ゾーン:だいたいの成果物のイメージがついて、ざっくりと成果物までの工程も想像がついた状態。
- 注意ゾーン:なんとなく成果物のイメージがついたけれど、成果物までの工程まではまだ見えないと分かった状態。
- 危険ゾーン:全く成果物イメージが掴めずに、もっと関係者から情報を集めないと手をつけられない状態。
いかがでしょうか?
この3つを危険な順番から並べると、3 => 2=> 1 です。
特に、3の状態と分かった時は、すぐに関係者から情報を集めるというアクションをとる必要があります。
私の場合は、先日の『新規プロジェクトの事業評価』というのが該当していました。新しいプロジェクトを社内の意思決定会議体に提案するので、そのための経済性評価をしてほしい、という業務依頼でした。
その新規プロジェクト自体も初見の内容だったのと、私の部門で経済性評価の経験者がいない、という2つの問題があり、その仕事の完成図をまったく描けずにいました。
従って、まずプロジェクトリーダーにすぐに連絡をとり、何回か打ち合わせをして新規プロジェクトの全体像と今回の依頼内容(経済性評価)の成果物を定義していきました。
また、並行して、海外にいる経済性評価の経験者の方にも連絡をとり、評価のための必要なプロセスを確認しました。こんな風に、まずは情報収集から取り掛かっていきました。
上記のように情報を集めていくうちに、仕事の全体像や成果物イメージが見えてくると、2の状態に移行していきます。この状態まで来ると、あとは成果物を作るためのリソース(誰が必要か? どんな情報、モノが必要か?)を特定して、その工程を考えていく段階になります。
そして、必要な関係者を特定できて、成果物の工程までざっくりと見えて来ると、1の状態になります。ここまでくれば、もう仕事は8割方終わったも同然です。成果物までの計画・スケジュールができたと言えるので、あとはそれを実行に移していくだけです。
まず10分取り組めば、その仕事がすぐにできるものかどうか分かる
この記事で伝えたかったことは、気の進まない仕事ほど、まず10分だけでもやってみてほしいということです。
そして、その10分で、その仕事を放置しておくとマズそうかどうか? の判断をしてほしいということです。
10分やってみて、以下の1のように『ゴールまでの道筋がだいたい見えたな』と思えば、もう安心です。あとは、少し放置しても問題ありません。
- 安心ゾーン:だいたいの成果物のイメージがついて、ざっくりと成果物までの工程も想像がついた状態。
- 注意ゾーン:なんとなく成果物のイメージがついたけれど、成果物までの工程まではまだ見えないと分かった状態。
- 危険ゾーン:全く成果物イメージが掴めずに、もっと関係者から情報を集めないと手をつけられない状態。
ここで、一番ケアしておいて欲しいのは、3のすぐに情報収集から始めないといけない場合です。
すぐに10分でもいいから取り組むことのメリットは、『この3のケースを見極めること』にあります。
なぜなら、情報収集から始める段階では、その仕事の完成図が見えておらず、どれくらいの時間がかかりそうかも分かっていないからです。
完成までのイメージとスケジュールが描けていない仕事を放置しておくことほど、危険なものはありません。
これを防ぐための最も有効な方法の一つが、『とりあえず、10分やってみる』だと私は思います。もちろん、5分で足りる場合もありますし、20分〜30分必要になる場合もあるかもしれません。
とにかく、少しやってみて、『あ、この案件はヤバイぞ。まったく全体像が見えないから情報収集からすぐに始めないと間に合わないかもしれない・・・』というのを察知することができれば、それで目的達成です。
以上が、まず10分やってみることをオススメする理由です。
もし、仕事の取り掛かりが遅いなと感じている方がいれば、『とりあえずの10分』を心がけてみてはいかがでしょうか?
(参考)偉人の名言
人々は理解できぬことを低く見積もる。
- ゲーテ -(ドイツの詩人、小説家、劇作家 / 1749~1832)